あ~~~~ッッ、気持ちの悪い音楽が聴きたぁ~~~~いッッ‼‼  年がら年中爛れた気分丸出しキッズ(実年齢54歳・チン毛は既にロマンスグレー)が渇望する不穏ミュージックの代表格と言えば、そう! CHRISTIAN DEATHしかないの、もう!

掟ポルシェ_推し活メモリーズ #12

 特にボーカルのROZZ WILLIAMS在籍時の初期盤は、どれを聴いても全力でドブに頭突っ込んで死にたくなる絶望メロディと背筋にオオサンショウウオがペッタリ張りついたようなヌジャッとした凶悪音質が何考えてんだか全然わからずたまりません。中でも大名作1st『ONLY THEATRE OF PAIN』のちょっと後にフランスのL’Invitation Au Suicideから出たミニアルバム『DEATHWISH』は、正統なレコーディング技術を学んできた者なら聴いた瞬間頭を抱えること必至な完全ツブレ音質を実現。それもそのはず、こちらがちゃんとした1stアルバムを作る前に地元の雑なスタジオで録ったデモだから。メンバーが18歳から23歳の時、レコーディングのセオリーとかまるで無視してフィーリングでエフェクトてんこ盛りにしちゃったため、プロには決して出せないバーンアウト呪われ感を図らずもクリエイトしてしまっていて、バンド名に恥じない罰当たりサウンドでそこが最高!


ROZZ WILLIAMS

ROZZ WILLIAMSは34歳の若さで自死により亡くなっているが、その存在は神格化され最近でもこうして自伝本がリリースされるほど。本の表紙で白目なの、俺かROZZくらいのもんじゃないかと思う(ポイントのズレた親近感)。


 そんでROZZの歌声がこれまた発明の域でして。’70年代、パンクロックの登場により「テクニカルに上手く歌い上げるのはクソダサい」という謎の価値転換が起こり、’80年代を迎える頃には、アバンギャルドミュージック全般における破壊的ボーカルスタイルは多様性を帯びつつありました。パンクのルーズな自堕落声、ハードコアパンクでは迫力を重んじて更にギャーギャー感を猛トッピング。そしてROZZが生み出したボーカルはといえば、「病床死にかけスタイル」。絶望の淵で声帯を禍々しく震わせる様子は、一歩間違えると「あのねのねの原田伸郎が“イタ~い、なにすんのぉ~”と声を裏返している時」に酷似。あの時代、あのねのねがアメリカ進出していたらROZZもあんな震え声は出さなかったことでしょう。ROZZが歌いだした途端客席から「アレ、ネコ・ニャンニャンニャン、ノヤツジャネ?」と笑いの渦が巻き起こったりしなくてホント良かった。


SPIRITUAL CRAMP

数年前、何を歌っているのか歌詞の内容が突然気になり、「SPIRITUAL CRAMP」を自力翻訳してみたところ、これまでにも宗教戦争の発端となってきた神・キリストへの信仰そのものを諸悪の根源とするC・デスのテーマが存分に盛り込まれており、耽美というよりガッツリ真面目な姿勢にやや驚いたものです。原田伸郎感は詞には皆無。


 曲のタイトルも徹頭徹尾病んでます! とにかく死・死・死! ちょっと、『DESPERATE HELL』ですってよ奥さん! 「絶望的な地獄」だって! ダメ押し感ヤバ! 歌い出しからしてROZZの声の多重ダブリングで「アアアァァアオオオオオウゥゥゥァァアアア~~~~」って谷底落ちてってる風で地獄感ハンパない! こういう呪われサウンドと無縁に生きてきた健全な諸兄がうっかり聴いちゃうとマジで死にたくなること請け合い。エアロビクスのお供にiPodでこれ聴きながらやったら厭世感ミッチミチのため一発でスポーツクラブ退会必至。すっごい後味わるくてたっまんないの。


CHRISTIAN DEATH_02

CHRISTIAN DEATHは本来ポジティブ・パンク(ゴシック・ロック)に分類され、中古盤屋だとNEW WAVEのコーナーにレコードがあったもんだが、昨今ブラック・メタルの隆盛により、アンチクライストバンドの元祖としてメタルのコーナーに入ることもあって超紛らわしい。ディスクユニオンメタル館にあっても売れるのか疑問なんすけど。どうなんだろ。


 初期C・デスは見た目の禍ッコよさも異常! ROZZの1:9分けロングヘアーはダークサイド・オブ・竹村健一と呼んでいいものかかなり迷うスペシャルな妖しさに満ちており、ルックルックこんにちは直撃世代を無駄にソワソワさせる。そういえばギターのRIKK AGNEWもどことなく夏木ゆたか(暗黒風味)っぽいし、他のメンバーの簡易地獄感も予備校主催のハロウィンパーティー風で、キッズならではの手作り背徳感が微笑ましく、アー写を見る度あったかい気持ちになれます。こんなポジパンは初期CHRISTIAN DEATHだけ!


Profile
1968年北海道留萌市生まれ。ニュー・ウェイヴ・バンド「ロマンポルシェ。」のボーカル、楽器、および説教担当。荻窪のラーメン屋「ひつじそば 人と羊」をこよなく愛する。



Text:Okite Porsche
Photos:Kanta Matsubayashi
Title Design:ZUMA

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