歳を取るって素敵なことだと
教えてくれる人生の先輩たちに感謝!

35年寄り添った夫がナイトの称号を授与され“レディ”となったサンドラ。しかし、その祝賀パーティで夫と親友の浮気現場を目撃してしまい、傷心でロンドンに住む姉のビフの家に転がり込む。お金や名誉とは無縁のビフは、なんでも話せる親友のチャーリーやダンス教室の仲間に囲まれて、人生を心から謳歌していた。妹の窮地を心配する姉は、かつてダンサーを目指していたサンドラをダンス教室へ無理やり連れてく。すると彼女はしだいに仲間たちに溶け込み、忘れかけていた踊りへの情熱や淡い恋心を思い出していく。

順風満帆の生活に突如訪れた不幸。確かに自分の身に起きて欲しくないし、本作のサンドラを観ていて不憫だけれど、そんな極限状態に陥った時の対応で、その人の本当の姿が見えてくるもの。彼女は長年疎遠になっていた姉のビルに触れ、自分に素直で飾らない生き方を目の当たりにしたことで自らの人生を振り返る。誘われて参加したダンス教室では、かつて持っていたダンサーになる夢の欠片に触れてみるみるうちに前向きになっていく。そして意外な出会いから、遠い過去に置き去りにしていた淡い恋心というものを思い出す。それは、第二の人生、第二の青春というべき甘い時間。社会的地位を得た夫と自立した娘に囲まれて何不自由なく暮らす老後も幸せだろう。しかし、今明るい未来を想像できるようになったサンドラはもっと幸福感に満たされているように見える。こんな老人たち(失礼!)を見たら、我々40歳男子も将来が楽しみになってくる!

主人公のサンドラを演じるのは、『ヴェラ・ドレイク』(04年)で英国アカデミー賞主演女優賞を受賞した実力派、イメルダ・スタウントン。そして、姉のビフは『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』シリーズ(13、16年)のマッジ役のセリア・イムリー、親友になるチャーリーは『ハリー・ポッターとアズガバンの囚人』(04年)のピーター・ペティグリュー役のティモシー・スポールが務めた。彼らが演じる妙齢の男女の悲喜こもごもや、練習を重ねて到達した圧巻のダンスシーンはこの作品ならでは。また、「死ぬことを恐れてるからって、生きることまで恐れないで」「人のことが気になりすぎて、自分を見失わないで」といった、ふとした場面で出てくる人生の先輩の金言にもグッとくる!


『輝ける人生』

監督:リチャード・ロンクレイン
出演:イメルダ・スタウントン、ティモシー・スポール、セリア・イムリー
2018年8月25日よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開
© Finding Your Feet Limited 2017

『輝ける人生』公式サイト

Text:Hisamoto Chikaraishi