眩しいほどにピュアで、ときにトゲトゲしい
感受性豊かな子供が人生の意味を教えてくれた

さまざまなルーツを持つ移民の子供たちが通うパリ19区の小学校に、キャリアに挫折したバイオリニストのダウドがやってくる。彼に課せられた使命は、この学校でオーケストラ・クラスを選択した10人余りの生徒たちにバイオリンを教えること。さらに、年度末にフィルハーモニー・ド・パリのメインホールで開催されるコンサートへ彼らを導くことだった。しかし、クラシック音楽にも楽器にも触れたことがなく、いたずら盛りの生徒たちに音楽を教えるのに一苦労。ダウドは自信を喪失しながらも、粘り強く練習を重ねるうちに、子供たちは音楽の魅力に気づき、ダウドもまた子供への指導に新たな生きがいを感じるのだった。

才能も技術もあるはずなのに、行きたいポジション、やりたいことに到達できない。それは誰の身にも起こること。プロの演奏家としてあぶれてしまったダウドは、不本意ながら多感な時期の生徒の教育にあたる(生徒が本当にやんちゃで、ハラハラしてしまう!)。そんな生徒を前に彼は指導を諦めそうになって衝突もするけれど、感受性があってやっぱり愛らしい子供に惹かれていく。同時に、扱いの難しい子供たちに楽器を教え、打ち解けていく中で、ダウドは音楽のすばらしさと、疎遠になっている娘との関係を見つめ直していく。劇中で彼自身が語る、音楽の演奏に一番大事な“楽しむこと”を知るのだ。その途中で若い才能の原石を見つけたり、自分の中に意外な可能性を感じたり、ダウドにとって回り道は無駄にはなっていなかった。

驚くことにダウド役のカド・メラッドをはじめ出演者はほとんどバイオリン未経験者。生徒役の少年少女たちは、作品の舞台となるパリ19区でオーディションを行い、キャスティング。本作はパリの新しいランドマークとなったフィルハーモニー・ド・パリが運営する子供のための音楽教育プログラム「Démos」から得た着想を発端としているというのもあり、徐々に音楽に親しみ、自らの演奏に一喜一憂しながら成長する子供たちの姿を自然に描き出した。

やんちゃだった彼らが、オーケストラの演奏家として晴れの舞台にあがり、演奏するクライマックス。果たしてどんな結末が待っているのか…清々しい感動は保証しよう。


『オーケストラ・クラス』

監督:ラシド・ハミ
出演:カド・メラッド、サミール・ゲスミ
2018年8月18日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
© 2017 / MIZAR FILMS / UGC IMAGES / FRANCE 2 CINÉMA / LA CITÉ DE LA MUSIQUE – PHILHARMONIE DE PARIS

『オーケストラ・クラス』公式サイト

Text:Hisamoto Chikaraishi

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