衝撃的で官能的! 心と体で駆け引きをする
双子との禁断の関係に落ちたある女性の真実

クロエは原因不明の腹痛に久しく悩んでいた。紹介された精神分析医のポールのカウンセリングを受けることで痛みから解放された彼女は、彼と恋に落ちる。そんなある日、クロエは街でポールそっくりの男、双子の兄で同じく精神分析医のルイを見かける。そこからほころぶ恋人の小さな嘘。疑惑にかられ、偽名を使ってルイのクリニックに通い始めたクロエは、優しいポールとは反対に傲慢で挑発的なルイに惹きつけられていく…。「ポールといるときはルイを想い、ルイといるときはポールを想う」。彼女はしだいに、似て非なる2人の男性との背徳の愛にのめりこんでいくが──。

恋人と同じ顔で、同じ職業である女性と出会ったことはあるだろうか。その人は間違いなく彼女の双子であり、共通の話題も豊富で、すぐに打ち解けるに違いない…普通の場合は。しかし、本作のポールとルイの双子は性格も治療法も異なる精神分析医で、おまけに互いの関係はよくない。不安定な心と謎の腹痛から解放してくれたポールを愛しながらも、自分を粗雑に扱う暴慢な兄のルイに会いに行くことをやめられないでいる。そしてクロエとルイの関係は深まっていき…鏡合わせの世界のように同じ顔の男性を前にしながら、まったく違う欲望を満たそうとする彼女の二重生活は実にスリリングで官能的だ。

人が他人の嘘を疑うのは、自分が嘘をついているから──という心理状態を巧みに使い、クロエ、ポール、ルイに起きるすべての物語のリアリティを曖昧にする。これはクロエが見た現実なのか、これはポールが語った真実なのか。その中で、環境と本心のバランスを考える社会的動物である人間の本能を瞬時に飛び越えてくる、彼らの大胆な欲望と行動にずっとハラハラしっぱなし。ジョイス・キャロル・オールの原作『Lives of the Twins』を核に、鬼才フランソワ・オゾンが仕掛ける新境地ともいえるこの心理サスペンスは、大人が楽しめる極上の物語となっている。最後まで観たあなたは、ストーリーの裏に潜む真実を見抜くことができるだろうか。


『2重螺旋の恋人』

監督:フランソワ・オゾン
出演:マリーヌ・ヴァクト、ジェレミー・レニエ、ジャクリーン・ビセット、ミリアム・ボワイエ、ドミニク・レイモン
2018年8月4日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国順次公開
© 2017 – MANDARIN PRODUCTION – FOZ – MARS FILMS – PLAYTIME – FRANCE 2 CINÉMA – SCOPE PICTURES / JEAN-CLAUDE MOIREAU

映画『2重螺旋の恋人』公式サイト

Text:Hisamoto Chikaraishi

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