現実と虚構の境目を溶かす不穏な超常現象
怖いがゆえに前のめりで観てしまう

フィリップ・グッドマンは、オカルト否定派の心理学教授として知られていた。自身がホストを務める人気テレビ番組では、霊能力者が繰り出すいくつもの超常現象のトリックを暴いてきた。ある日、キャメロンと称する者からカセットテープが入った奇妙な小包が届く。そこに収められていた声はまさしく、行方不明となっていた憧れのチャールズ・キャメロン博士だった。心躍らせながら尋ねるやいなや「目に見えない力の存在を否定できない3つの事例がある」と言い放ち、グッドマンにある3人が経験した超自然的な現象の調査を依頼する。しかし、そこには彼が触れてはいけない秘密があった…。

原作は、2010年にイギリス・リバプールの劇場で初めて上演され、歴史上最も恐ろしいステージ・ショーと絶大な人気を博した「ゴースト・ストーリーズ」だ。この公演は観客を驚かし、ときに神経を逆なでするような、いろいろな演劇的なトリックを用いたという。映像となった本作でも、限られた登場人物、限られた空間はどこか舞台的で、キャラクターや場面への没入感が圧倒的。だからこそ、そこで起きる不協和音(または不穏な空気、または違和感)が、直接見ている人の心を揺さぶる。果たして、“あれ”はいるのか、いないのか──。

原作者で監督のジェレミー・ダイソンと、ともに監督を務め主演のグッドマンもこなしたアンディ・ナイマンは、15歳からの親友とのこと。お互いホラー映画への深い愛を持ち、この原作をもとに自分たちの提案で、自分たちのアプローチで映画を作れる日を待っていたようだ。ジェレミーは「(本作で)“言葉では言い表せない、より感覚的な恐怖”に光を当てたかった」と語る。確かに血なまぐさい場面もなければ、目を覆うような残虐なシーンもない。足音を立てずにただひたひたと恐怖が付いてくるホラーは、感受性を豊かにしてくれる気がする(ちょっとのことでビビっちゃう)。とはいえ何を言っても、怖いものは怖い。みなさん、こんな蒸し暑い毎日に涼感、求めてますよね? ちょうど『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』がありますよ!


『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』

監督:アンディ・ナイマン&ジェレミー・ダイソン
出演:アンディ・ナイマン、アレックス・ローサー、ポール・ホワイトハウス、マーティン・フリーマン
2018年7月21日よりヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次公開
© GHOST STORY LIMITED 2017 All Rights Reserved.

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』公式サイト

Text:Hisamoto Chikaraishi

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