ちゃんとした表現に触れるとみるみる手が腐る病気にかかっています! 粗悪品総合引受人・掟ポルシェです! 心に響く良い歌とかマジさいあく! 歌詞で気持ちを伝えようとしてくるヤツとかホント卑怯! お前ら一生JR熊谷駅前の見えない薄暗いところに集まってなんかやってろ! この凡庸! せめてチンポぐらい出せっつの!


(左)1.バーナード・ジェイ著 『聖ディヴァイン』(青土社)
42歳で早逝したディヴァインの半生を元マネージャーが書いた分厚い本(思い切り参考文献)。ディヴァインの醜悪で怠惰な素顔を包み隠さず書くことによってその魅力が存分に伝わっている上に、文末いちいちオチていて文章力ハンパない。名著。
(右)2.DIVINE「BORN TO BE CHEAP」(7インチ)
ディヴァインのデビュー曲。ホークウィンド「シルバー・マシーン」を簡略化し迫力を排除したような軽快なロックンロールに乗せて「私は生まれながらの安物ッ!」と叫ぶという、最高すぎて顎がはずれそうな曲。WAX TRAX!(KMFDMやミニストリーとかを出してるとこ)からごく少数リリース。ディスコソングじゃないので売れなかったが、売れる売れない以前の問題な気もする。


というわけで、ちゃんとしてなくて猥雑なものっていいですよね! 良識のある人全員が眉をひそめる安っぽくて酷い表現を見ると本当に晴れやかな気持ちになれるっちゅうか。ああ~、今日は心の底までケロイド状になりてっえ! というやさぐれキンタマタイムにうってつけな音楽といえば、そう! ディヴァインです! 山本晋也じゃない方のカントクでおなじみのジョン・ウォーターズ監督による芸術映画『ピンク・フラミンゴ』(’72)の主演の、あの女装して犬のウンコもりもり食ってた巨体の人。死んだ金魚が転生しました風の安物の化学繊維をピッチピチに着込んだあの物体が、実は結構な枚数のレコードをリリースしていることをご存じでしょうか。見てみ、このジャケ! あ~あ、瞳孔開いちゃってるし。あ~あ、ジャケの感じからして文学的な歌詞が入り込む余地ゼロなのはもうおわかりでしょう。感動しようったってそうはいきません。

ディヴァインは『ピンク・フラミンゴ』に出演して以来、いつの間にかカルトクイーンとしての地位を確立。しばらくは舞台俳優としてキャリアを積んできましたが、あのキャンプな見た目&口を開けば呪詛しか吐かないアンクリーンな物体を、地方のゲイディスコが放っておくわけがなく、開店記念に一晩1000ドルで営業をブッキングされます。とはいえ特にやれることがないっていうんで、司会を務める地元ドラァグクイーンと罵り合い&つかみ合いをするだけの目が覚めるほど品性下劣なショーをやってました。それだけだと間が持たないんで歌でも歌うかってことになり、デビュー曲「ボーン・トゥ・ビー・チープ」を録音。しばらくそれで営業回ってたもののB面の曲と合わせて7分しか時間稼ぎが出来ず、あとは中指を突き立てて「ファックユーベリーマッチ!」と連呼して凌いでました。しかし1982年初頭、ボビー・OのOレコードと契約して「ネイティブ・ラブ」を録音しディスコにばら撒いたところ、これが爆発的に受けて一躍ディスコスターに。ドナ・サマーのなんかの曲に似たシンセベースが印象的な曲でどこのクラブもドッカンドッカン盛り上がったっつうんで、「シュート・ユア・ショット」「シェイク・イット・アップ」と立て続けに似たような曲を少しずつ変えて別な曲としてリリース。これじゃまずいってんでニュー・オーダー「ブルー・マンデー」のイントロ丸パクリした「ラブ・リアクション」を出し、ファクトリーレコードから訴えられそうになってもっとまずいことに。


(左)3.DIVINEニットバッグ
横山やすし、勝新太郎から中村達也まで自分の好きなカルトスターをなんでもニット編みしてしまうゴキゲンにも程があるブランド「編み物☆堀ノ内」。当然ディヴァインのも編むよね~。
(右)4.DIVINE「SHAKE IT UP」(12インチ)
ギラギラの汗だるま。


その後契約したプロトレコードにたまたまデスクを構えた若いやつがピート・ウォーターマンだったことで、公募曲をPWLプロダクションズがアレンジした「ユー・シンク・ユー・アー・ア・マン」を制作、ディスコチャート1位独走&全英トップ10ランクイン。続けざまに「アイム・ソー・ビューティフル」&ベスト盤リリースで低俗美の限りを尽くし、スコポコしたチーペストなハイエナサウンドとそれらをまんま反映させた醜悪スリーヴは、その徹頭徹尾の安っぽさからゴミのような激安価格が付けられ中古レコード店のエサ箱の肥やしに。一方、酷いものにだけビンビン反応する俺のような安物マニアから未だにド熱く支持され、気がつくと使命感に駆られて買ってしまうのです。最低で最高なんで皆にも無理矢理お裾分け!



Profile
1968年北海道留萌市生まれ。ニュー・ウェイヴ・バンド「ロマンポルシェ。」のボーカル、楽器、および説教担当。荻窪のラーメン屋「ひつじそば 人と羊」をこよなく愛する。


Text:Okite Porsche
Photos:Kanta Matsubayashi
Title Design:ZUMA