世の中にまだないモノを
作らないと意味がない

八王子に拠点を構えるガレージブランドの「MAAGZ(マーグズ)」。近年のアウトドアブームの陰で着実に知名度を上げてきているが、その作り手は全員が20〜30代と、40代や50代が当たり前のアウトドア業界では非常に珍しい新風だ。

もともとガレージブランドはアウトドア業界出身者や金属・木材加工の会社が立ち上げることが多い。アート・ウェブ・建築を得意分野とする作り手が集まって結成されたMAAGZがいかに特異な存在かがわかる。

ブランドの代名詞となった焚き火台「RAPCA」のデザインを担当した彫刻家の高石優真さんは「世にあるモノは作らない、ないから作る。思いついたモノを形にしただけ」と話し、ウェブエンジニアの日野慎哉さんは「何も知らないがゆえに、一直線に商品開発ができた」という。生半可に知識や情報があるとアウトドアの常識にとらわれてしまうが、異業種のクリエイターが集まることで、いろいろな角度から物事を見ることができ、また、たくさんのアイデアを出し合えることが強みになっている。

この夏発売された、草食動物のふんと間伐材から作られた「ANIMAL LIGHTER/うんちの着火剤」からも常識にとらわれない発想が十分にうかがえる。ただそういったクリエイティブな面だけでなく、売り上げの一部を野生動物の保護に充てるなど、自分たちのフィールドである“自然”への循環をしっかりと考え、実際に行動に移している点を評価したい。プロダクトだけじゃない、そのブランド哲学が多くのキャンパーから支持を集める理由なのだろう。


MAAGZを代表する焚き火台、「RAPCA」。動物の骨をモチーフにしたという繊細なフレームは炎も美しく映える。逆台形のデザインは非常に安定感があり、大きな薪も問題なく置ける。上部に焼き網を設置すればメスティンやダッチオーブンが使える広い調理スペースに。写真は別売りの風防を装着。

ブランド名はヤギの鳴き声を意味する「maa」と雑誌を意味するマガジンから。

オフィス兼工房、ギャラリーはとんかつ店をリノベーション。

焚き火台「RAPCA」にはさまざまなオプションがつけられる。

草食動物のふんをベースにした「ANIMAL LIGHTER/うんちの着火剤」。ニオイがまったくなくサラサラ。“自然との循環”をテーマにし、売り上げの一部を野生動物の保護活動に役立てている。

開発中の大型焚き火台。サンプルを公開するのは異例で、懐が広い。

オフィス内にある焚き火スペース。左から日野さん、商品企画の橋本さん、高石さんと猪野。



Photos:Yuko Yasukawa
Composition&Text:Masaya Ino