のんさんが愛する名作映画『大逆転』 

「いつも頭の片隅に“大逆転”のキーワードを置いてます」

これは意外なのか、いかにもなセレクトなのか!? のんさんが最近観て心に残っている映画は、UOMOがターゲットとする世代“40歳男子”も観ていたであろう大ヒットコメディ映画『大逆転』(1983年全米公開)だった。エディ・マーフィとダン・エイクロイドの2大キャストが奮闘するドタバタ痛快作だ。


「家で観る映画はコメディが多いです。私が生まれる前の映画なんですけど、もうタイトルからして観なきゃって感じで。“大逆転”のキーワードはいつも頭の片隅に置いてあるんです。理由ですか? ゲームでもスポーツでも人生でも、最後に大逆転すると面白いじゃないですか。

違う立場に逆転した2人をエディ・マーフィさんとダン・エイクロイドさんが演じていて、個性のぶつかりあいがツボでした。ラストもまさに大・逆・転って感じ。私もこんな痛快な大逆転ができたらなって思います。家族や友達とワイワイ観るのにピッタリの映画です。



あと、“ライバル”って言葉も好きです。ひとりでいるとき、たまに考えたりします」



 のんさんが演じる最新作『私をくいとめて』 

「自分の心の声に、いつも耳をかたむけていたい」

最新作『私をくいとめて』では、“脳内に生まれた相談役=Aと会話する”という特異なパーソナリティを持つ主人公「みつ子」を演じた のん さん。東京砂漠で暮らす31歳・独身・会社員のみつ子はいつしか恋愛から遠ざかり、仕事ではストレスを受け流しつつ、絶好のタイミングで表出するAと脳内お喋りしながら“おひとりさま”の時間をポジティブに充実させる毎日を過ごしていた。


「悩んだときに颯爽と現れて自分らしいアドバイスをくれるAの存在は、私には羨ましい。ズルいなって思います。映画のシーンにもありますが、私もたまに電車や公共施設で席を譲ろうかどうか迷ってしまうときがあります。そんなとき、Aに背中を押してもらえると、『この席どうぞ!』って勇気がでるんじゃないかな。



©2020『私をくいとめて』製作委員会

あと、アドバイスは脳内人格のAからだったとしても、実際に行動に踏み切った人格は自分だし、どちらも自分自身ですよね。本当はこうありたいと願っている弱い自分の心の声に、いつも耳をかたむけていたいなと思います。もし現実にあったらシャーロック・ホームズとワトソンみたいな関係かも」



会社勤め人ならではの人間関係が描かれるシーンには、UOMO世代も胸が痛くなるはず。そして、恋愛の悲喜こもごもでも脳内人格のAは大活躍。ご近所さんだと判明した年下営業マンの「多田くん」(演:林遣都)への淡い想いを言葉にしてくれた存在もAだった。だが、不器用なみつ子はなかなか関係を進められない…。


「みつ子らしさが垣間見えるセリフは意識して演じました。自宅に誘う言葉も、『うち、呼ばれ…ます?』なんですよね。『来る?』とかじゃなくって『呼ばれます?』を選ぶところがみつ子らしい。



取引会社の後輩の多田くんにはみつ子はタメ語で話していて、一方の多田くんは敬語をメインにたまにタメ語を入れて会話したりとか。二人の関係性のぎこちなさが、もどかしくも楽しいなあと思いました」



居心地が良すぎた!? “みつ子の部屋”

自宅に呼ばれた多田くんを手料理でもてなすみつ子。周りを見やると、31歳・おひとりさま・会社員の等身大の部屋模様にドキドキしてしまうはず。この完成度の高いセットは、本誌UOMOでも活躍するインテリアスタイリストの作原文子さんが手掛けているのだ。


「センスのいい女子の部屋って感じです!とくにベッド周りのインテリアが好きで、チェック柄のキルトとか、クッションとかブランケットとか、自分の部屋に欲しいくらいでした。もちろんセットですし控え室は別にありましたが、みつ子の部屋の撮影では、居心地がいいので待ち時間もずっとベッドの上から離れずにゴロゴロしていました」



©2020『私をくいとめて』製作委員会

最後に、本作『私をくいとめて』では、橋本愛さんと朝ドラ以来7年ぶりの共演が実現。橋本さんが演じる「皐月」はストーリーの重要なターニングポイントで登場。Aの存在は意識の外に置かれ始める。かつての親友同士が自分を縛り続けていた想いを深夜に吐露し合うシーンは必見だ。



「映画の最初からAはいます。たぶん、皐月がイタリアに嫁いだタイミングで、みつ子の心にAが生まれたんじゃないかなって思うんです。なんでも話せていつも心の拠り所だった親友が、彼女自身の強い決断で遠くに行ってしまう。もう簡単には会えない。それってとっても怖いこと」



エンドロールから先、暗転の後、しばし余韻が続く。



「あのとき脳内に相談役のAが生まれていなかったら、みつ子はどうなっていたんだろう。もし自分がみつ子と同じ立場だったらどうなっちゃうんだろう。みつ子に頑張れ!って言ってあげたい気持ちは、たぶん私自身に向けたものなのかもしれません」



▼12月18日(金)全国ロードショー

映画『私をくいとめて』

監督・脚本:大九明子 / 出演:のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 前野朋哉 山田真歩 片桐はいり/橋本愛 / 配給・宣伝:日活 / ©2020『私をくいとめて』製作委員会

おひとりさまライフを気ままにエンジョイする“みつ子(31歳)”。みつ子が一人でも楽しく生きていられる理由は、脳内に生まれた頼れる相談役=“A”の存在だ。人間関係や身の振り方に悩んだときは、Aはいつでも正しい答えを脳内で喋りかけてくれる。このままAと一緒に平和でゆるゆるとしたおひとりさまの毎日が続くと思っていたある日、うっかり年下の営業マン“多田くん”に恋してしまった。おそらくは両想いだろうと信じて、20代と30代の恋愛の違いを痛感しながら、みつ子はAとともに勇気を振り絞る。失敗したら立ち直れないほどのダメージを負うはずの31歳・崖っぷち女の人生と、恋の行方やいかに!?

映画公式サイト:https://kuitomete.jp/

▼のんさんが愛する名画は?

映画『大逆転』

監督:ジョン・ランディス / 出演:ダン・エイクロイド、エディ・マーフィ / 原題:Trading Places / 1983年 / コメディ / 発売元:パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン / 発売日(DVD);2006年11月2日 / 価格:¥1,429+税 / TM & COPYRIGHT ©2002 BY PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

エディ・マーフィとダン・エイクロイドが共演。NYを舞台に大富豪兄弟の賭けのためにお互いの立場を交換させられたエリートビジネスマンとホームレスの逆襲を描いた傑作コメディ映画。育ちの良いエリートをダン・エイクロイド、ホラ吹きのホームレスをエディ・マーフィーが演じる。エディの真骨頂であるマシンガントークが炸裂。ラストのどんでん返しまで目が離せない。




▼PROFILE: のん NON

女優、創作あーちすと。1993年兵庫県生まれ。 2016年公開の劇場アニメ「この世界の片隅に」で主人公・すずの声を演じ、第38回ヨコハマ映画祭「審査員特別賞」を受賞、高い評価を得る。 作品は同映画祭で作品賞、第40回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞を受賞した。2020年「星屑の町」「8日で死んだ怪獣の12日の物語」出演。2017年に自ら代表を務める新レーベル『KAIWA(RE)CORD』を発足。シングル『スーパーヒーローになりたい』『RUN!!!』とアルバム『スーパーヒーローズ』を発売。 2019年6月ミニアルバム「ベビーフェイス」を発売。2020年5月よりオンラインライブ『のん おうちで観るライブ』を毎月開催。創作あーちすととしても活動を行い、2018年自身初の展覧会『‘のん’ひとり展‐女の子は牙をむく‐』を開催。



Photos:Photos:Yuhki Yamamoto
Hair & Make-up:Shie Kanno
Stylist:Team non
Interview & Text:Takafumi Hojoh