ステンレススティール×立体ケースで
新しいスタイルを構築した注目作

 ヒートアップする高級時計市場の中でも、特に熱い視線を集めているのが「ラグジュアリースポーツ」と呼ばれるジャンルだ。防水性などスポーツウォッチ並みのスペックを持ちつつ、薄型&ディテールに凝ったケースにはラグジュアリーな造形美があるので、ビジネスからカジュアルまで幅広く対応するオールマイティな時計である。


 このラグジュアリースポーツウォッチだが、あまりにも人気が高すぎて入手困難なモデルも多数。中でも1972年に誕生し、“ラグジュアリースポーツウォッチの原点”とされるオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」は、ほぼ店頭に並ぶことはないという状況だ。


 しかし、今年の1月末にオーデマピゲの創業地であり、今でも本社を構えるスイスのル・ブラッシュで開催された新作時計発表イベント「AP SOCIAL CLUB」にて、「ポスト・ロイヤル オーク」にふさわしい新作を発見した。


それがステンレススティールケースを使った「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」である。

オーデマピゲ_CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ02

 CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲは2019年にデビュー。アイコニックな八角形のミドルケースを丸形のベゼル&ケースバックで挟み込む立体的なケースが特徴的で、貴金属ケースを用いたラグジュアリーウォッチとしてスタートした。


このモデルに今回ステンレススティールケースが加わったのだが、ただそれだけと思うなかれ。硬度の高いステンレススティールで、この立体的な造形のケースを作るのは極めて困難であり、オーデマ ピゲ史上最高難度だというのだ。


実はロイヤル オークもそうだった。デザイナーのジェラルド・ジェンタは薄型ケースを好む一方で、立体感を引き出すために斜面や平面を巧みに組み合わせるデザインを提案した。しかしながらこの造形をステンレススティールで作るのは、現在の技術でも難しく、それが生産本数を増やせない理由にもなっている。


つまりオーデマ ピゲは長年、加工の難しいステンレススティールを使って「立体的で美しいケースを作る」ことを追求してきた。新しいCODE 11.59 バイ オーデマ ピゲには、ステンレススティール×ラグジュアリーというその歴史が継承されているのだ。


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 またCODE 11.59 バイ オーデマ ピゲはケースサイズのバランスもいい。3針のオートマティックもクロノグラフもケース径は41㎜。ケースの厚みはオートマティックが10.7㎜でクロノグラフが12.6㎜と、シャツの袖口に引っかかりにくい。このようなプロポーションにも、ロイヤル オークで磨き上げてきた審美性が発揮されている。


ダイヤルの造作も凝っていて、型押しでつくった凹凸は内側に行くほど小さくなるという繊細な表現。ブルーやグリーン、スモークベージュという3つのカラーダイヤルはどれもが華やかで個性的。光の加減によって美しく濃淡を変えるので、手元が華やかになる。そして防水性能は3気圧と、日常使いする分には何の心配もない。ストラップはラバー加工で、スポーティ&カジュアルな雰囲気がある。


正面から見るとラウンド型の端正な時計は、サイドから見れば立体的でラグジュアリーなボリューム感がある。しかも耐傷性に優れた硬いステンレススティールなので、オンオフ問わず日常的に使える。このような汎用性の高さも、傑作ロイヤル オークにも通じるものがある。

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 ラグジュアリースポーツウォッチの人気に陰りは見えないが、時計の目利きたちは、すでにその次を探している。オーデマ ピゲらしい技術とセンスを持ったステンレススティールケースの「CODE11.59 バイ オーデマ ピゲ」は、間違いなくその選択肢に入るだろう。



CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック

オーデマピゲ_CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック_01

ナイトブルー、クラウド50のダイヤル。自動巻き、SSケース、ケース径41㎜。¥3,135,000/オーデマ ピゲ(オーデマ ピゲ ジャパン)

オーデマピゲ_CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック_02

グリーンのダイヤル。自動巻き、SSケース、ケース径41㎜。¥3,135,000/オーデマ ピゲ(オーデマ ピゲ ジャパン)


オーデマピゲ_CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック_03

スモークベージュのダイヤル。自動巻き、SS×セラミックケース、ケース径41㎜。¥3,465,000/オーデマ ピゲ(オーデマ ピゲ ジャパン)

オーデマピゲ_CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック_04

八角形のミドルケースで挟む立体構造が、CODEの特徴。ヘアラインとポリッシュを使い分けているが、こういった繊細な仕上げが美しくできるのも、ステンレススティールの特性だ。


オーデマピゲ_CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック_05

型押し技法で、精密なダイヤル装飾を演出する。ベゼルを薄くする一方でインナーベゼルをやや厚くし、細かいミニッツ目盛りへと進化した。

オーデマピゲ_CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック_06

搭載ムーブメントはCal.4302。毎時28,800振動で、パワーリザーブは約70時間



CODE11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ

オーデマピゲ_CODE11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ_01

ナイトブルー、クラウド50のダイヤル。自動巻き、SSケース、ケース径41㎜。¥4,345,000/オーデマ ピゲ(オーデマ ピゲ ジャパン)

オーデマピゲ_CODE11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ_02

グリーンのダイヤル。自動巻き、SSケース、ケース径41㎜。¥4,345,000/オーデマ ピゲ(オーデマ ピゲ ジャパン)


オーデマピゲ_CODE11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ_03

スモークベージュのダイヤル。自動巻き、SS×セラミックケース、ケース径41㎜。¥4,620,000/オーデマ ピゲ(オーデマ ピゲ ジャパン)

オーデマピゲ_CODE11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ_04

リューズデザインがシンプルな形状になり、操作がしやすくなった。


オーデマピゲ_CODE11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ_05

オートマティック、クロノグラフとも、スモークベージュのモデルのみミドルケースがブラックセラミックに。ケースの立体感がさらに強まる。

オーデマピゲ_CODE11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ_06

搭載ムーブメントはCal.4401。一体型設計でムーブメント厚は6.8㎜。パワーリザーブは約70時間。


篠田哲生 | 時計ライター TETSUO SHINODA
時計学校にて理論や構造、分解組み立ての技術なども学んだ経歴を持つスペシャリスト。時計専門誌からファッション/ライフスタイル誌まで、多数の媒体で時計記事を執筆。著書に『教養としての腕時計選び』(光文社新書)などがある。



オーデマ ピゲ ジャパン TEL:03-6830-0789
https://www.audemarspiguet.com/

Composition & Text:Tetsuo Shinoda