2025.09.27
最終更新日:2025.09.27

【おしゃれな大人のクルマ選び】売れてるSUVの最強版、ランドローバー・ディフェンダー オクタは何がスゴい?

SUV

2019年の発売以来、好調に売り上げを伸ばしているランドローバー・ディフェンダー。ロングセラーだった初代の面影を残しつつアップデートし、よりラグジュアリーな姿に生まれ変わったことで新たなファンを獲得し続けている。そんなディフェンダーに、史上最強のモデル「オクタ」が登場。われわれも公道とオフロードで試乗の機会を得た。

ランドローバー・ディフェンダー オクタ
マット塗装(ラッピングカスタム含む)はここ数年のトレンドで、中にはトゥーマッチなものもあるが、オクタのマット塗装は辺に目立ちにくい。

今回は、オクタの魅力をオンロードとオフロードの両方で味わうため、新幹線で軽井沢へ。駅に着くと、早速ブラックのディフェンダー110がお出迎え。一瞬「え、もうオクタに乗れる!?」と思ったが、主役との対面は翌朝までお預け。

ししいわハウス
宿泊したのは、坂茂氏による有機的な佇まいが特徴的な「ししいわハウス」。2017年にオープン後、棟を増築して現在に至る。

翌朝は、ディフェンダー110に乗って浅間にある老舗のオフロードコースへ。もちろん、ノーマルのディフェンダー110だって十分にトルクフルで、エアサスペンションによる豊かな乗り心地を体感できるが、オクタの試乗前にあえて乗ることで、のちに大きな違いを体感することになる。

オフロードコースで対面したオクタ

オフロードコースで対面したオクタは、ダイヤの「八面体」の名にふさわしい、ひときわ屈強ないで立ちだった。車幅は、20インチの専用ホイールとテレーンタイヤを装着するため7cmワイドになり、車高は3cmアップ。オフロードにより特化したハイパフォーマンスモデルではあるが、当然ながらオンロードでも最強のパフォーマンスを誇る。開発にともなう試走回数は14,000回。距離にして1,000,000kmというから本気度が違う。

今回試乗した「エディション1」
今回試乗した「エディション1」(国内限定90台)は、高強度を誇る20インチホイールにテレーンタイヤを装備。広がった車幅とあいまって、地に足のついた重量級の安定感がある。

最強のモデルと聞けば、はじめは大排気量で突き進むイメージを抱いたが、パワートレインはマイルドハイブリッド。エンジンはトルクを重視した4.4ℓのV型8気筒を初採用している。

オンロード、オフロードコースの両環境で試乗し、最もオクタの独自性が感じられたのが、専用開発された「6D ダイナミクスエアサスペンション」だった。モータースポーツ由来のノウハウがつぎ込まれており、凹凸路面や加減速時に車体が左右上下に沈み込む挙動の変化を、あらゆる路面状況において油圧制御する。

「ダカールラリー」の2026年大会に、改造範囲が狭いストック部門で参戦するオクタ
オクタは「ダカールラリー」の2026年大会に、改造範囲が狭いストック部門で参戦することが決まっている。持ち合わせたポテンシャルを、世界一過酷なレースで証明できるのか?
浅間サーキットのオフロードを、専用の「オクタモード」で走ってみた

まずは浅間サーキットのオフロードを、専用の「オクタモード」で走ってみた。路面のギャップに対する足の動きが柔軟になり、アクセルに対してトルクも適正な配分に制御される。火山灰が堆積した狭い林道を、MTモードのローギアで踏み込んで進むが、深めに掘られた轍をものともせずに駆けるだけでなく、コーナリングや加減速時に車体が急に揺れ乱れるようなことがない。アグレッシブに動く中にもピタッと安定した印象を受けた。

制御の次元が高すぎて、思わず「なんだコレは……!」と唸ってしまう。攻めた走りを楽しみたい人はもちろん、SUVにあまり乗り慣れていない人や、オフロードの走行経験がない人は大いに安心感を覚えるに違いない。

中程度のキツさが続くカーブの多い軽井沢周辺のワインディング

そして当然ながら、この独自のサスペンションシステムは、オンロードにおいても高い安定性能を誇る。実際に中程度のキツさが続くカーブの多い軽井沢周辺のワインディングを走らせたが、車高の高さを感じさせない、路面にひたっと付くようなスタビリティの高さが感じられた。

オクタ 内装
ボディ and ソウルシート
ランドローバーではオクタにのみ装備される「ボディ and ソウルシート」は、スポーティなだけでなく、ウェルネスの向上と没入感を与えてくれる。ウェルネスモードを選ぶと、ヒーリングミュージックと合わせてシートが振動する機能が搭載。

そんなディフェンダーの王者といえるオクタだけあって、ベースグレードのディフェンダー110が車両本体価格872万円から購入できるのに対し、2250万円からととひときわ高額。しかし、国内導入分130台は発売からほどなくして完売したという。

依然としてファッション的なSUVがトレンドにあるなかで、極限の悪路走破性を追い求めて、ここまで煮詰められたハイパフォーマンスモデルが他にあるだろうか。日頃からそんな悪路にすすんで向かう人はごくわずかだが、機能に裏付けされた佇まいというのは、ただファッションで「それっぽく」カスタムしたものとはやはり異なって、より美しい。まさに、待望の一台が登場した。

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