PR
2025.08.29
最終更新日:2025.08.29

【陸と空の技術が互いを鍛える】レクサスが新時代のエアレースに挑む理由

【陸と空の技術が互いを鍛える】レクサスがの画像_1

高級車の概念を超え、つねに革新に挑戦し続けるレクサスは、エアレースの世界的パイロット室屋義秀とエアレースチーム「LEXUS PATHFINDER AIR RACING(LPAR)」を立ち上げ、“Pushing Boundaries(限界を押し上げる)”というマインドセットのもと、陸と空の垣根を超えた技術交流を2016年から続けている。

現在、LPARは新時代の空のモータースポーツとして注目を集める「AIR RACE X」に参戦し、現時点でシリーズランキング首位の座に就いている。本年で2シーズン目を迎えるAIR RACE Xは、仮想現実(AX)による観戦を楽しめる新時代の空のモータースポーツとして注目を集めている。

9月6日に行われるラウンド3に向けてチームの姿を追うべく、LPARが拠点を置く福島県のふくしまスカイパークを訪れ、室屋とLPARでテクニカルコーディネーターを務める中江雄亮に話を聞いた。

すぐに成果が表れた両者の協働

【陸と空の技術が互いを鍛える】レクサスがの画像_2

レクサスと室屋義秀の出会いは2016年にまでさかのぼる。エアレースで勝つためにさまざまな方法を模索していた室屋は、クルマづくりの技術に何か役立つヒントはないかと思い、当時、エアレース世界選手権参戦でパーソナルスポンサー契約を結んでいたレクサスに相談を持ちかける。闘い続ける姿勢や精神が、人々に勇気を与える存在である室屋にレクサスは共感し、翌17年からは本格的な技術交流チームが発足。協働の成果はすぐに表れた。レクサスのステアリングホイールを応用した操縦桿グリップによる操作性とインフォメーションの向上、空力解析による画期的な旋回法の開発など、戦闘力がアップした室屋はこの年、空のモータースポーツとも称される世界最高峰のエアレース「Red Bull Air Race World Championship」で悲願の年間総合優勝を果たしたのだった。

 その後も両者の交流は続き、2021年10月、本格的なチーム「LEXUS PATHFINDER AIR RACING(LPAR)」が発足。そして現在、LPARは「AIR RACE X」に挑戦している。最高時速400km、最大重力加速度12Gという極限の条件下で、世界最高の操縦技術を有するパイロットたちがレース専用の小型飛行機を操縦し、飛行精度とスピードを競う新時代の空のモータースポーツである。

【陸と空の技術が互いを鍛える】レクサスがの画像_3
© Taro Imahara TIPP

AIR RACE Xの特徴は、最先端テクノロジーを活用した競技フォーマットと観戦スタイルにある。各パイロットは、世界各地の自らの拠点に設定された同一のレーストラックを実際にフライト。機体に搭載したセンサーによって計測された精緻な飛行データが、大会本部に送信・集約される仕組みとなっている。このデータをもとに、対戦相手との比較映像や複数のオンボード映像が合成され、さらにAR(拡張現実)などのXR(クロスリアリティ)技術を活用した演出が融合。これによって、離れた場所や時差を飛び越えて競技が可能になるだけでなく、ライン取りや操作の違いなど、パイロットたちの緻密な駆け引きと巧みな操縦技術が可視化され、かつてない没入感と臨場感による驚きの観戦体験を実現している。

 AIR RACE Xは23年に渋谷を舞台に初開催され、室屋は初代勝者に輝いている。2年目となる24年は、全3レースのシリーズで初の年間タイトルが争われ、開幕戦を2位で終えた室屋は、続くラウンド2でスーパーラップを記録し初勝利を飾ると、その勢いのままラウンド3も勝利を収め、初代シリーズチャンピオンの栄冠を獲得した。

 25年大会は、世界6か国から8名のトップパイロットが参戦し、全3レースが行われる。開幕戦は4月に開催され、シリーズ連覇を目指す室屋は順調に決勝進出を決めたが、決勝では僅差で敗れ、2位という結果に終わった。

【陸と空の技術が互いを鍛える】レクサスがの画像_4
コックピットに収まる室屋と、その傍に立つ中江。ふくしまスカイパークに常駐するLPARのクルーとともに、データを解析しながら、練習、開発を日々進めている。

「新しいシーズンになるので、去年勝っていたかどうかはあまり関係がありません。みんなが去年とまったく同じコンディションならばたしかに有利かもしれませんが、オフシーズンに当然みんな機体の改良もしてくるし、トレーニングも重ねて操縦技量も上がっている。だから、毎年シーズンが始まるときはイチからという気持ちで臨んでいます。その中で、去年からだんだん力をつけてきたパトリック・デビッドソン選手(南アフリカ) や、ルーキーのアーロン・デルー選手(オーストラリア)はきっと上がってくるだろうなと思っていましたが、ふたを開けてみたら予想以上に速くなっていましたね」(室屋)

ウイングレットの改良で掴んだ勝利

初戦が終わって室屋のシリーズランキングは2位。トップのパトリック選手とは10ポイント差。残り2レースということを踏まえると、これ以上離されると逆転は困難となる。ラウンド2はシーズンの行方を左右する勝負所となった。そこでLPARが考えたのは、機体のアップデートだった。AIR RACE Xはターンも多いため、空気抵抗だけでなく機動性も重要になる。空気抵抗を今まで以上に小さくし、機体スピードをより速くするために、新形状のカーボン製のウイングレット(主翼端に取りつけられる小さな翼端板)を投入することにしたのだ。LPARでテクニカルコーディネーターを務める中江雄亮が経緯を語る。

【陸と空の技術が互いを鍛える】レクサスがの画像_5
今季大会のラウンド2から投入され、効果をもたらした新型のウイングレット。

「ラウンド1まで使っていたウイングレットは17年につくられたもので、今でもたしかに性能はいいのですが、形状ゆえの懸念点が当初からややありました。ただ、大勢には影響がなくタイムも出ていたので、そこまで大きくは考えていなかったんです。とはいえ、やはり次のステップを見据えときに、改良できるならすべきだと。少しずつ準備を始め、24年の春ごろにようやく具現化できました。そこから模型をつくって風洞実験を重ね……25年中に実戦で投入できればと思っていたのですが、ラウンド1で2位という結果もあり、急遽前倒しで投入することにしました」(中江)

従来の切り欠きがあるタイプに比べ空力を改善し、ウェットカーボンからドライカーボンに素材を変えたことで、軽量化を実現した新型のウイングレットを投入して臨んだラウンド2。室屋は素晴らしいタイムでライバルを圧倒して見事優勝を決め、シリーズランキング1位の座に就いた。

【陸と空の技術が互いを鍛える】レクサスがの画像_6
重量わずか530kgの機体。340馬力を誇る8.9Lの空冷水平対向6気筒エンジンによって、最高速度は425km/hまでに達する。

「飛行機の羽というのは、上側のほうが空気の流れが速く、下のほうが少しゆっくりと流れています。速く流れたほうが空気の圧力は下がるので、それによって羽が上にいこうとして、飛ぶ仕組みになっているわけですが、一方で流れは圧力が高いほうから低いほうに流れるため、羽の外側に空気が回り込んでしまい、渦ができてしまうんです。この渦はかなり大きな抵抗となり、全体の20%から30%ほどを占めます。新しいウイングレットは、その渦をできるだけ止めて、制御する働きをしてくれる。乗りやすさも変わらず、以前よりも安定していたので、本当に素晴らしい仕上がりでした」(室屋)

室屋ウイング効果を日常のドライビングでも

これまで共に培ってきた取り組みをさらに加速させ、互いが持つ技術やノウハウをよりスピーディーにレース機の開発に繋げてきた室屋とレクサス。エアレースを通じて蓄積された空の技術は、実は陸のレクサスのクルマづくりにもフィードバックされ、生かされている。

【陸と空の技術が互いを鍛える】レクサスがの画像_7
今年発売された「LC500 PINNACLE」(右)と「LC500 Convertible PINNACLE」(左)

2021年に発売したLC500の特別仕様車「AVIATION」では、飛行機のウイングレットから着想を得て、空力性能を追求したリヤウイングが初採用され、23年に発売されたLC500 特別仕様車「EDGE」では、リヤウイングに加えて空気抵抗低減と車両安定性の確保に寄与する一体成型バンパーカナードがフロントバンパーに搭載された。さらに、24年に発売されたRZ450e特別仕様車「F SPORT Performance」では、航空機に用いられている空力技術を応用したカーボンウイング、カーボンターニングベインなど17点の専用エアロパーツが使われ、今年発売されたLC500の特別仕様車「PINNACLE」とLC500 Convertibleの「PINNACLE」でも、一体成型フロントバンパーカナードや専用固定式リヤウイングが採用されている。

「PINNACLEのリヤウイングはAVIATIONに入れたものと同様です。今まではクルマの特性上、あのリヤウイングはクーペにしか装着していなかったんです。ただ、今回は新しくコンバーティブルでも、通称“室屋ウイング”を体感いただけるようになりました。レクサスには「Always On」という考えがあり、モデルを出したら終わりではなくて、つねに年次改良を加えていきます。リヤウイングの空力効果はかなりあるため、それに合わせてフロントのカナードやサスペンションメンバーもアップデートし、クルマ全体の性能を高める取り組みにつながっています。PINNACLEをはじめ、LPAR で生まれた開発技術はレクサスのクルマづくりにも還元されていますし、その流れは今後もっと進んでいくでしょう。いろいろな技術ができて、その技術がモビリティの可能性を広げて、お客さまの選択肢がどんどん広がっていけばいいなと思います」(中江)

 チームが発足して4年が経ち、レクサスのクルマづくりにLPARチームがより入り込んでいくようになっていると中江は言う。最近は特別仕様車だけではなく、通常のモデルでもLPARで培った空力の知見を取り入れた開発が行われ、室屋がテストコースでクルマを試乗し、そのフィードバックをもとにセッティングを変えるということも行われている。とてもよい循環が生まれていると室屋は話す。

 「最初はやっぱり自動車メーカーが飛行機のことをやるので、よくわからないところも多々ありました。量産車を開発する人と、競技をやる人の環境は開発のスピードや考え方も全然違うため、初めの頃は息が合わないのも当然です。それが、今は本当に何も言わなくても自律的に回っている感じがありますね。チームとして目標が掲げられていて、そこに向かって短期開発を含めて結果を出さないといけないわけですが、その過程ですっと突き抜ける人が出てきて、いわゆるゾーンやフローといわれる状態に入り始めると、チーム全体が俄然活気づくんです。そうなると、開発のスピードとかアイデアとかがぼんぼん出るようになってきて、それが結果としてクルマづくりにも戻っていっている。技術づくりのサイクルがいい状態で回っている感じがします」(室屋)

 現在、LPARはラウンド3を控えている。2年連続のシーズンチャンピオンを賭けた闘いの開催地に選ばれたのは、大阪の中心部である「グラングリーン大阪」と「グランフロント大阪」だ。

 観客はスマートフォンやタブレット越しに、大阪のリアルな街並みを駆け抜けるレース機の姿を観戦できる、拡張現実と複合現実によるデジタルレースとなる。

【陸と空の技術が互いを鍛える】レクサスがの画像_8

「基本、機体のセットアップは変わらないので、あとは操縦技術の勝負になるかなと思っています。トップ3が今ポイントを競い合っていて、機体の性能はけっこう近いので、本当に集中力と体力、気力の勝負になってくると思いますね」(室屋)

かつてない観戦体験が味わえること必至なので、ぜひ現地を訪れ、室屋とLPARの勇姿を観てほしい。

室屋義秀プロフィール画像
エアレース・パイロット/エアロバティック・パイロット
室屋義秀

1973年生まれ。18歳でグライダー飛行訓練を開始。2009年、レッドブル・エアレース ワールドチャンピオンシップに初のアジア人パイロットとして参戦。17年、ワールドシリーズ全8戦中4大会を制し、アジア人初の年間総合優勝を果たす。2023年には新たにスタートした「AIR RACE X」に参戦し、初代王者に輝く。競技活動の合間をぬって、全国各地でエアショーを行うほか、地元福島の復興支援活動や子どもプロジェクトにも積極的に参画している。

中江雄亮プロフィール画像
LEXUS PATHFINDER AIR RACING テクニカルコーディネーター
中江雄亮

レクサスで数多くの自動車開発に従事。専門は「空力」。チームのテクニカルコーディネーターとして、空力についてはもちろん、自動車開発で培った多様な知識と技術を機体開発に投入すべく、開発領域全般の指揮を執っている。また、エアレースで得られた知見をよりよいクルマづくりにフィードバックするミッションにも力を注ぎ、レースチームとレクサスのエンジニアとのパイプ役としてその能力を発揮している。

RECOMMENDED