TOYOTA CROWN SEDAN Z/TESLA MODEL 3 PERFORMANCE
いつの時代もセダンが基準です
神保 今回はセダンの今について考えてみましょう。最新鋭ながら対照的な2台を選びました。SUVやミニバンが主流の今でも、やはりセダンは基本形だし、どこか格がある。
西坂 水素で走る(燃料電池車)トヨタ・クラウン セダンの70周年仕様車と、テスラ・モデル3のパフォーマンス。サイズは違えど、セダンは荷室と隔たりがあるので、車内の気密性と安全性が高いですよね。2台とも往年のセダンと比べると、クーペ的。重心が低く安定感があって快適です。
神保 モデル3の印象は、無駄がなくてスマート。一方でクラウンはあえて革靴を履くようなハズシ感がありますね。特に後席はモダンになった老舗旅館のようで、マッサージ機能などのホスピタリティはさすが。レクサスとも違った上質さがあります。
西坂 もっとも内装は対照的ですよね。物理スイッチが多いクラウンに対し、モデル3はモニターとハンドル以外は何もない…。
神保 テスラに慣れると、従来のスイッチを使いこなせるか不安になってきます(笑)。でも、テスラはけっしてミニマルな車ではないですね。モニターに集約されているだけで、機能はたくさん。モニターでお絵描きや、本物のステアリングでゲームまでできるという。
西坂 燃料電池車はどうでしたか?
神保 とても静かで乗り心地も素晴らしかったですよ。クラウンは大きな車体を優雅に動かしている実感がありますね。ただ、やはりインフラはネック。鎌倉まで行きましたが、道中に水素ステーションはなく、場所によっては結構不安を感じました。
西坂 クラウンはハイブリッドもありますが、燃料電池車は補助金が最大255万円出ますから、環境に恵まれた人なら…ですね。
神保 クラウンはやはり上質で安心感があるし、モデル3は、アプリと直結したモビリティライフが実感できて、よりニュースタンダードを実感できるのはテスラでしょうか。
西坂 いつかはクラウン? 今すぐテスラ? 悩ましいですね。
生体認証を用いたテスラのアプリは、キーとしての役割も果たす。「これに慣れると、ほかの車で危うく施錠を忘れそうになることがあります(笑)」(神保)。
クラウン セダンの後部座席。水素タンクでセンタートンネルが盛り上がっているためリアは実質2人乗り、コンソールのタッチパネルと王冠マークに伝統と革新を感じる。
【Spec】トヨタ・クラウン セダン Z
・全長×全幅×全高:5030mm × 1890mm × 1480mm
・ホイールベース:3000mm
・バッテリー容量:4.0Ah
・最高出力:134kW(182PS)
・電費・航続距離:148km/kg・約820km
・定員乗車人数:5人
・運転支援技術:Toyota Safety Sense、トヨタ チームメイト(渋滞時支援、駐車時支援)など
・車両本体価格:¥8,550,000(オプション別)
・備考:撮影車両は70周年仕様車の「THE 70th」。燃料電池車のほかに、2.5Lのハイブリッド車がラインナップする。
【Spec】テスラ・モデル3 パフォーマンス
・全長×全幅×全高:4725mm × 1850mm × 1430mm
・ホイールベース:2990mm
・バッテリー容量:非公表
・最高出力:210kW(286PS)
・電費・航続距離:146Wh/km・647km
・定員乗車人数:5人
・運転支援技術:オートパイロット機能
・車両本体価格:¥7,259,000(オプション別)
・備考:「パフォーマンス」はデュアルモーターの最上位グレード。ほかに「スタンダード」「ロングレンジ」がラインナップする。
オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU®」ディレクター。初代BMW3シリーズのEV化や、移動式充電機《モバイル SS》を考案し活動中。「2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー」選考委員。
Instagram:@shogojimbo @drivethru.jp
「UOMO」編集部員。車、時計、ファッションを中心に担当する。愛車は1970年式のアルファ ロメオ・ジュリア GT1300Jr.のほか、トヨタ86の競技車も所有し、ダートトライアルに本格参戦中。