Volkswagen ID. Buzz

人も荷物ものるピースフルなEV
西坂 話題のID.バズですか。前回のミニと比べるとめちゃくちゃ大きいですね。
神保 今回は逆にたくさん人が乗れる車を選びました。かつてヒッピーたちに愛されたワーゲンバス(タイプ2)が先祖とあって、ピースフルで愛着がもてます。確かに大きいけど、それもこの車のキャラクターだと思えてしまうところが魅力です。
西坂 高級志向な国産ミニバンとはまったく違うキャラなのがいいですね。ギラッとせずに安っぽさもなく、清潔感がある。
神保 家族や友人、荷物も全部のせたくなる新時代のモビリティかなと思って、今回は家族で伊豆まで小旅行に行ってきました。
西坂 ワーゲンと海は合うし最高ですね。
神保 混んでる道中では「トラベルアシスト」なる運転支援を使いましたが、その名のとおりロードトリップを快適で安全なものにしてくれます。高速巡航時の前車追従機能はもちろん、気が遠くなりそうな大渋滞も、バズと一緒なら相棒と運転しているようで気分よし。
西坂 航続距離などはどうでしたか?
神保 航続距離は十分だけど、バッテリーが大きくて出先だと充電に時間がかかるから、駐車場所で200Vの普通充電ができるなど、EVに適した環境を求められますね。例えば、旅先にあった急速充電器の出力が50kWhで30分制限になっていて、15%しか増えてなかったときは、ちょっと困った。
西坂 走ること以外にも結構電力は使いますからね。家族や大勢で移動するときは特に。
神保 僕と息子が海水浴をしているときは、妻は車内で冷房をかけて読書をしていました。空気を汚さずにそういう使い方ができるのも利点ですよね。ただ、“V2L”が本国仕様も含めて搭載されていないのは玉にきず。
西坂 EVの電力を家電やガジェットに供給できる機能ですね。アウトドアで役立ちそう。
神保 こうした機能がすべて備わってニュースタンダードといえるのかも。モダンに生まれ変わったスタイリングやコンセプトは素晴らしいので、今後に期待です。

ID.バズは、ノーマルホイールベースモデルの“Pro”でも3列シートを採用。2列目の独立シートはProのみの仕様となる。「アンビエントライトは好みが分かれますが、どこかカリフォルニアっぽさがあるID.バズだと、アメリカの一軒家にあるプールの照明のようにも見えて、ムードもあり、未来的にも感じられて気分がいいですね」(神保)。
【Spec】
・全長×全幅×全高:4715mm × 1985mm × 1925mm
・ホイールベース:2990mm
・バッテリー容量:84kWh
・最高出力:210kW(286PS)
・電費・航続距離:168Wh/km・524km
・定員乗車人数:6人
・運転支援技術:同一車線内全車速運転支援システム、レーンチェンジアシストシステムなど
・車両本体価格:¥8,889,000(オプション別)
・備考:ワントーンカラーはホワイト、シルバー、ブラックがあり、ロングホイールベースモデルもラインナップ。
オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU®」ディレクター。初代BMW3シリーズのEV化や、移動式充電機《モバイル SS》を考案し活動中。「2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー」選考委員。
「UOMO」編集部員。車、時計、ファッションを中心に担当する。愛車は1970年式のアルファ ロメオ・ジュリア GT1300Jr.のほか、トヨタ86の競技車も所有し、ダートトライアルに本格参戦中。