2025.06.16
最終更新日:2025.06.16

【ジャガーが生まれ変わる】アーティスティックでエレガント。TYPE 00は現代の「文化系“紳士”」だった!

EV

英国を代表するスポーツカーや高級乗用車を手がけるジャガーは、現在、リブランディングの真っただ中にある。電動化はもとより、さらにラグジュアリーなブランドとなって生まれ変わる計画だ。その新たなブランドアイデンティティを体現するコンセプトカー「TYPE 00(ゼロゼロ)」が、東京・品川の寺田倉庫でお披露目された。

TYPE 00

TYPE 00のワールドプレミアは、昨年12月に「マイアミ アート ウィーク」で行われ、その後も鮮烈なマットブルーの個体が「パリ・ファッション・ウィーク」に姿を表した。アートやファッションの祭典でコンセプトカーが立て続けにお披露目されることは極めて稀で、高い注目を集めている。振り返ると、名車「E-type」は芸術的な佇まいがアートピースとして認められ、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に2台所蔵されている。やはりジャガーのスポーツカーは、いつの時代もアートのように美しくなければならない。

パリ・ファッション・ウィークに突如として登場したTYPE 00
パリ・ファッション・ウィークに突如として登場したTYPE 00。ご覧のようにバタフライドアが採用されている。

今回のプレゼンテーションで、マネージングディレクターのロードン・グローバーは「ジャガーには輝かしいヘリテージはあるが、ヘリテージブランドではない」と述べた。90年におよぶジャガーの歴史を振り返ると、「紳士」「ダンディ」「モータースポーツ」といった、優雅ながらにタフな英国らしさをつかさどる男性像が浮かぶ。21世紀に入って、ジャガーは次第にグローバル化され、モダナイズされていったものの、今回のリブランディングによって、クラシカルでスポーティな紳士像からは離れ、よりアーティスティックで文化的な素養を身にまとって完全に生まれ変わった。

ラインは水平基調だが、張り出したフェンダーがボディに抑揚を生み出している
ラインは水平基調だが、張り出したフェンダーがボディに抑揚を生み出している。当日は、グラフィックアーティストであるYOSHIROTTEN氏のインスタレーションと共に発表された。

しかし、従来のジャガーのイメージを覆す重厚なスタイリングは、発表当初から賛否が巻き起こったのも事実。実物もかなり大柄(全長5m超)に見えたが、ルーフラインは低く(全高約1.3m)、その佇まいはGTカーそのもの。「A Copy of Nothing=何も模倣しない」という、創始者ウィリアム・ライオンズの思想に則りながらも、スポーツカーとしての黄金比はきちんと守られていることが嬉しい。やはり、ヘリテージがあるからこそ成立するスタイリングといえる。

TYPE 00はまず、4ドアサルーンから発売され、その後に2ドアクーペが展開される予定。チーフデザイナーのミッチェル・クロフォードは、「プロトタイプは試験中で、英国ではカモフラージュを纏って公道テストをしています。外観も素晴らしく、1000馬力を放つ走行フィールも素晴らしい。 決してがっかりすることはありません」と自信を込めた。

新興ブランドが頭角を現す昨今のモータリゼーションにおいて、歴史と伝統あるブランドのあり方が問われている。ジャガーはきっと、大人男子の心をくすぐる伝統と革新のブランドに生まれ変わるに違いない!

RECOMMENDED