デザインを評する言葉に「一周回っていい」というのがある。今、20年前のクルマはまさしくそう見えて、再び評価を得ている。実用性もあって価格もこなれているから、狙わない理由はない。
01:PORSCHE 911 Carrera (Type 996) / 南部翔也さん(tokyo basic car club 代表)
1997年に登場し、2004年まで販売されたポルシェ 911の5代目・996。空冷エンジンから水冷へと移行した節目のモデルゆえ賛否もあったが、今見ると無駄を削いだ機能美が際立つ。「細身のボディも、リアにかけてふくらむラインも“走るための形”として美しい」と南部さん。多くのクルマに触れる中で、今向き合いたい一台として選んだ。
「自分の操作に対してとにかく素直。滑らかなカーブでステアを切り込むとリニアに伝わっていく。その正確さに、走る面白さを思い出させてもらいました」
02:Maserati Quattroporte / 中川 司さん(フォトグラファー)
5代目クアトロポルテのデザインは、ピニンファリーナ在籍時代の奥山清行氏によるもの。マルチェロ・ガンディーニが手がけた先代の角張った形から一変、のびやかなスタイリングが話題を呼んだ。中川さんの個体は2005年式で走行2万キロ台、クラッチ交換ずみの好条件。
「マセラティには維持が大変なイメージがありますが、この年代は比較的まとも。内装のタンレザーがいいんです」
03:Audi A2 / 中野嵩大さん(デザイナー)
1999年デビューのアウディ A2は、アルミボディを採用した一代限りの実験的なモデルだ。日本では正規販売がなく、市場に出回る台数もごくわずか。中野さんが所有する5MT仕様のA2は、その最終年となる2005年式にあたる。
「父の知人が手放すと聞いて譲っていただきました。無機質で、機械的で、無駄がない。“バウハウス的”と評されてきた時代のアウディらしさがすごくよくわかるんです。大きさも空間の使い方も、すべてが合理的で気持ちいい」
04:NISSAN Skyline Coupe 350GT / 清野龍太さん(代官山 蔦屋書店 クルマ・バイク コンシェルジュ)
2003年に登場したスカイライン クーペは、日産が北米市場を意識したモデルだった。47歳になるオーナーの清野さんは、当時の印象をこう話す。
「4連の丸目テールランプがなくなって賛否も大きく、僕もなんだこれと思った記憶が。でも20年たつと、この時代にしかないよさもあったんだなと」