2024.05.05

もしも移動式充電スタンドがあったなら?【文化系男子は電気自動車の夢を見るか?Vol.26】

EV

もしも移動式充電スタンドがあったなら?

“Mobile SS”が都心部や山間部に普及したら…という空想をもとに今回のために描き下ろしたグラフィック
“Mobile SS”が都心部や山間部に普及したら…という空想をもとに今回のために描き下ろしたグラフィック。できるだけ再利用エネルギーで電力を賄うべく、水力発電、太陽光発電、風力発電も駆使しています。このグラフィックのように、電動ピックアップトラックやコンバートEVのマイカーで、さまざまなタイプのMobile SSを牽引して使える世の中になったら楽しいと思いませんか? 充電中の時間の使い方もより自由になって、仕事やクリエイティブな作業がよりはかどるはずです。

 EVが普及する中で必ずと言っていいほど話題に上るのが、充電インフラの不足。大げさな話、明日からEVしか走れない世の中になったらどうすればいい!? 特に誰から相談を受けたわけでもないですが、EVの取材やコンバートEVに乗る生活を通じて、どうしたらEVがよりよく社会実装できるか考えていくうちに、「Mobile SS(モバイル・エスエス)」なる発想に辿り着きました。

 Mobile SSとは、従来のガソリンスタンドを意味する“SS=サービスステーション”の次世代の姿を目指して、充電インフラのない場所でもエネルギーを供給できる移動式充電ステーションのこと。再生可能エネルギーの電力をふんだんに利用して“SS=サステナブル・ステーション”になることが最大の目的。ガソリンは油田を見つけないと始まらないですが、電気は比較的簡単に発電でき、大容量のバッテリーさえあれば、発電量の少ない太陽光や風力であってもチリツモで蓄えることができます。

 さらにEVに限ったことではないですが、ほとんどのモビリティは動いている時間より駐車している時間のほうが長いので、駐車場に確実に充電インフラがあれば、出先で満充電にする必要もなく、都度のわずかな充電で事足りるはず。そんな発想をもとに、シムシティのようにまとめたグラフィックを描いてもらいました。机上論だけではつまらないので、実は自らの構想を実現した第一弾のモバイルSSを、都心から50キロ離れた「檜原村」に開設しています。今後、このアイデアは普及してほしいので、大いに参考にしていただき、コピーしてもらいたいものです!

Mobile SS Hinohara

Mobile SS Hinohara
Mobile SS Hinohara 2
Mobile SS Hinohara 3

東京都唯一の村として知られる檜原村につくられた会員制のコワーキングスペース、Village Hinoharaに開設した「Mobile SS ヒノハラ」。ソーラーパネルと大容量バッテリーを搭載したキャンピングトレーラーに、EVの普通充電機能を搭載しており、充電をしながらワーケーションに励み、自然の中で有意義な時間を過ごすことができる。現地では、軽規格の小型EV「ミモス」を用いた山間部の二次交通の実証実験を行うなど、eモビリティの実験の場としてリアルに稼働中!

神保匠吾

1982年福岡県生まれ。オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。学生時代に乗っていたBMW初代3シリーズ(E21)を電動化し、EVライフを実践中。詳しくはhttps://drivethru.jp

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