シーブリーズ
アンティセプティック全身薬用ローション

アンティセプティック 全身薬用ローション(医薬部外品) 230㎖(オープン価格)/シーブリーズ(資生堂 TEL:0120-81-4710)


マルセル・プルーストは『失われた時を求めて』の中でマドレーヌを紅茶に浸すと記憶が甦ると言ったが、シーブリーズの香りをかぐと高校の教室を思い出す。

体育の後、シャワー代わりに浴びるようにふりかけて、汗と思春期の男子特有の体臭を一気に吹き飛ばし、文字どおり海風のような爽やかさをもたらしてくれた。みんなが一斉に使うものだから「目にしみる」と女子や後続の教師から文句を言われた、そんな情景を。

驚くことにこの製品、1902年にアメリカのメイン州で生まれ、優に100年以上の歴史を誇る。薬剤師のブルックスがカンフルやハッカ油、ユーカリ油を配合し、肌のほてりやニキビ予防などを目的にしたローションとして開発。レシピはほとんど変わることなく今日に受け継がれている。日本に上陸したのは1960年。今や同ブランドのラインナップはかなり増え、中高生向けのデオ&ウォーターが絶好調。

カップルでフタを交換し、使い切ったら恋が実るなんておまじない的なものもあるとか。つくづく時代は変わったと思う。とはいえ、40歳男子だってあの突き抜ける爽やかさの恩恵を受けてもいい。甘酸っぱい恋とは縁遠くなってしまったが、汗をかいた肌対策として今夏、積極的に使いたい。


GAKU FUJIMURA
男性美容研究家。All Aboutでメンズコスメガイドを務め、テレビ出演や講演、コンサルタントとして活躍。著書に『一流の男はなぜ爪を手入れするのか?』がある。


Photos:Yoshio Kato