箱に魅せられた男たち①

郷古隆洋さん / Swimsuit Department オーナー

東京、福岡、名古屋に店舗を構える。4月7~10日までMUJI HOTEL GINZAにて「モダニズムショー」を開催予定。


民芸第二世代の島根県の陶芸作家、舩木研兒さん作の陶箱。「陶箱は器とは違って、きちんと蓋がしまらないといけない。作るのに技術を要するためか稀少です」。


実用性より見た目重視。ときめく箱は手元に置きたい

僕が好きなヨゼフ・ボイスのアート作品に箱を使ったものがあったり、画家の猪熊弦一郎さんがいい箱を所有しているのを本で見たり、箱ってどこか男心をくすぐられるんですよね。箱は間口の広いアイテム、とらえ方も使い方も自由です。僕的には、ちゃんと面と角があって蓋がないと箱とはいえない気がしています。陶器には陶箱というジャンルがあって、形が丸いと蓋物と呼ばれ、箱ではなくなってしまうから。


日本の骨董市で見つけた’80~’90年代の、アクリペット素材のキャニスター。「箱は中が見えないという秘密性が魅力ですが、透明な箱には入れるものでコラージュする別の楽しみがあります」。


インテリアの視点でいうと、箱は飾るだけでなく収納力があるので、とても便利なアイテム。素敵なデザインの大きめの箱があれば、急な来客などがあっても不要なものを入れるだけですぐ片づくし、すっきりしゃれた部屋に見える。とても魅力的です。僕が持っている箱はどれも古く、日常的に使っているものも多いのですが、単純に集めているだけのものもある。倉庫には国内外の骨董市で見つけた趣味的な箱が、50個以上あります。


アメリカとイギリスで買ったアンティークの卵収納箱。中には緩衝材として巻き段ボールが。「箱の大きさや仕様の違いを見るだけでも楽しい。レトロなフォントにも惹かれます」。


混沌としたマーケットでも、好みの箱にはパッと目が留まる。実用性ではなく見た目重視であることは確かですが、惹かれる基準が何なのかはうまく説明できません。唯一意識的に探しているのが1950年代頃の厚紙でできた卵用の箱。見つけたのは10年間で3つだけ。このエッグボックスをいくつも手に入れて、積み上げるのが、ささやかな僕の夢です。



Photos:Yuichi Sugita[POLYVALENT]
Text:Hisami Kotakemori