1.上司や取引先が理不尽な要求をしてくる

「理不尽だと思っているのは、もしかしてあなただけかもしれません。どれだけ納得がいかなくても、相手にとっては理屈が通っている場合だってあります。そんなときは自分の機嫌次第で許せるかどうかを判断する物差しにするといいでしょう。あなたが上機嫌のときにその要求を許せるのなら、許容範囲ということです」

2.妻がささいなことで注意してくる

「まずは夫婦間で“許せる”“まあ許せる”“許せない”の三重丸を互いの頭の中に思い描くといいでしょう。自分の風呂の入り方が気に入らないなら、なぜ気に入らないのか、どうしたら許容できるかを話し合いで決めていくのです。夫婦といっても他人だし、価値観の相違は当たり前。互いの許容範囲を明確にすることが大切です」

3.部下が頼んだ仕事をやろうとしない

「まずは部下を怒るという行動が、自分と周囲にとって、長期的に健康的な行為であるかを考えましょう。衝動的な怒りがいい結果をもたらすかを判断してください。もしかすると、頼み方が悪いのかもしれません。部下の怠慢でチームが不利益を被ることを伝えるなど、相手が理解できるように伝え方を工夫しましょう」

4.混み合った電車が大幅に遅延する

「自分の努力ではどうにもならないこともあると受け入れるに限ります。大事な商談に遅刻しそうだとしたら、電話を入れるなど能動的に動いてください。身動きがとれない中でも、そのときにできる最良の判断をして行動に移すことで、気が紛れてだんだんと怒りが鎮まるでしょう」

5.運転中に無理な割り込みをされる

「車の運転に怒りのトラブルはつきもの。危険なあおり運転などは“ロードレイジ”と呼ばれ、クラクションさえもその予兆とされています。つまり誰もが加害者や被害者になりうる可能性がある問題なのです。道路上で怒りを覚えたら、まず相手の車が目に入らないところまで離れることが大切です。一度、路肩に車を止めて、相手をやりすごしてもいいでしょう」


アンガーマネジメントは’70年代にアメリカで生まれた、怒りと上手に付き合うための心のトレーニングです。

私はもともと怒りっぽい性格で、それゆえ人間関係の軋轢が多くストレスになっていました。自分は能力があるのにうまくいかないという思いが心の中にあったんだと思います。

ビジネスとは事務処理能力だけではなく、人間性、戦略、プレゼン、問題解決などの総合力が求められます。そのため、怒りで敵を多くつくることはよくないんですよね。

人が怒る大きな理由は防衛本能です。自分の権利を侵害された、あるいは侵害されようとしていると感じると人は怒りを覚えます。特に正義感が強い人は怒りっぽい傾向がありますね。

今の世の中はみんなが怒り疲れていると感じます。大事なのは自分がかかわる・かかわらないの線引きを明確にすること。あなたが怒っても仕方ないことからは意識をそらし怒りの対象から物理的に距離をおくといいでしょう。

安藤俊介さん
日本アンガーマネジメント協会 代表理事

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。2003年に渡米してアンガーマネジメントを学び、日本に導入した第一人者。著書も多数ある。


Photos:Takahiro Idenoshita
Illustration:Yutaka Nakane
Text:kinmasataka