林 士平 Lin Shihei
漫画編集者。集英社「少年ジャンプ+」編集部所属。『チェンソーマン』『SPY×FAMILY』『HEART GEAR』『ダンダダン』担当中。過去の立ち上げ作品に『青の祓魔師』『この音とまれ!』『ファイアパンチ』など。


担当編集・林 士平が語る異端のサーガ

チェンソーマンはこうして生まれた

初めて見たとき、これが主人公だなんて信じられなかった!

 昨年末、衝撃的な結末とともに第一部「公安編」が完結した『チェンソーマン』。時期は未定であるものの、第二部は少年ジャンプ+で掲載されることが決まり、テレビアニメ化も発表されるなど、その盛り上がりはとどまるところを知らない。大ヒット作『チェンソーマン』はどのようにして生まれたのか。担当編集の林士平さんによると、けっしてすんなりと誕生したわけではなかった。

「少年ジャンプ+で連載していた『ファイアパンチ』が終わったとき、作者の藤本タツキさんと『次は少年ジャンプで連載をしたいよね』という話をしたんです。ただ、最初につくった企画は通らなくて。今思い返しても面白い企画だったので、いつかそれは形にしたいなと思っているんですけど、次の連載会議の締め切りに合わせて、新企画を練り込んでいただきました」

 最初はストーリーからつくっていったのではなく、キャラクターのデザインから始まったという。

「藤本さんがこの主役を書きたいと言って、チェンソーマンのデザインを見せてくれたんですけど、どう考えても悪役にしか見えない。これを主役にするのはしんどいと思って、僕は反対だったんです。でも、あとでチェンソーマンは普段は人間の少年の姿をしているという話を聞いて、そこから主人公のデンジが生まれました。デンジのキャラを考えるにあたって、二人で過去の少年ジャンプの連載をチェックして、最近は性欲に忠実なキャラがいないよねという話からデンジの設定が決まったのは覚えています(笑)」

 現在までに累計930万部突破。ここまで熱狂的に支持されたのは、「読者の想像を裏切る展開が定期的にあったからではないか」と林さんは話す。

「毎話、毎巻、ちゃんと驚きがあったことだと思います。藤本さんは口であれこれ説明するよりもネームで説明するタイプで、打ち合わせで話したことと全然違うものが上がってくることもありました。そんな倒し方なの?とか、そんな敵がいるんだ!とか、そこまで描いちゃっていいの?とか、これまでの漫画ではあまり見なかったギリギリな表現や展開を定期的にぶっ込んでくるので、担当編集である僕もよく驚かせてもらいました。第二部のネームも頭の中ではできたと言っていたので、今はそれを読むのを楽しみに待っている状態です」


『チェンソーマン』 藤本タツキ/集英社 既巻11巻
悪魔のポチタとともにデビルハンターとして借金取りにこき使われるデンジ。ド底辺の日々は、残忍な裏切りで一変する。悪魔をその身に宿し、悪魔を狩る、新時代ダークヒーローアクション。



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Photos:Yumi Yamasaki(Mr.Lin) 
Interview&Text:Masayuki Sawada