シーマスターとの出会いが、新たなモチベーションに

雪山でのクールなスノーボードスタイルとは一味違った端正なダークスーツ姿に、まばゆい輝きを放つ金メダルを携えてオメガ銀座ブティック本店に現れた平野選手。自ら選んだというお気に入りの「オメガ シーマスター アクアテラ マスター クロノメーター」が、その凛とした雰囲気をさらに引き立てていた。


「オメガにはいろんな種類の時計があるので最初は何を選ぶべきか難しいなあと思っていたのですが、僕は時計に限らずシンプルなものが好きなので、このシーマスターを見てすぐに『これだ!』と思いました」



北京2022オリンピックで30回目のオフィシャルタイムキーパーを務めたオメガ。そんな伝統あるグローバルブランドのアンバサダーに平野選手が就任したのはオリンピック直前の今年1月。同じくアンバサダーに選ばれたスキージャンプの髙梨沙羅選手と小林陵侑選手、スピードスケートの小平奈緒選手らとともに名実ともに日本のウィンタースポーツシーンの「顔」となったことは、悲願のオリンピック金メダルに挑む上で大きなモチベーションになったという。


「小物にけっこうハマっていて、いろいろなアイテムを身につけることが楽しくなってきていたタイミングでアンバサダーのお話をいただいたので純粋にうれしかったですね。これまで自分自身が挑戦してきたことをいろいろなところで見てもらえているんだなと、実感することができました」



トリプルコーク1440の成功は奇跡に近かった

北京2022オリンピックの舞台では、男子ハーフパイプにおける現時点の最高難度の技「トリプルコーク1440」を2回目、3回目のランで成功させた平野選手。エアの圧倒的な高さや優雅さも相まって、これまで3度の金メダルを獲得してきたショーン・ホワイト選手ら世界のトップライダーたちを遥かに凌駕する異次元のライディングで金メダルに輝く。スケートボードで昨夏の東京2020オリンピックに出場したため準備期間は半年あまりしかなかったが、それでもあくなきチャレンジスピリットで圧巻のルーティンを成功させ、世界中を驚嘆させた。


「技を本格的に練習し始めたのはそれこそ半年前。生きるか死ぬか、それくらいのトリックだったので最初は緊張して足が震えましたが、何度も練習を繰り返してきました。それでもオリンピック前は大会で失敗していたので、本大会で2回決められたことは自分でも奇跡に近かったと思っています。まさに紙一重、ギリギリの勝負でしたね。今回の北京2022オリンピックは自分にとってもいろんな経験と時間を経て迎えた大会。時間がない中でいろんなことにチャレンジしたことが生きて金メダルに繋がったのかなと。その点でもこれまで出場したオリンピックとはまた違った経験だったなとあらためて感じています」



オメガとともに、挑戦の幅を広げていきたい

平野選手の視線は早くも次を見据えている。「オメガのシーマスター」という名品を新たなパートナーに、日本を代表するアスリート、世界トップのスノーボーダーとして今後どんな“時間”を刻みながら成長曲線を描いていくのか。楽しみでならない。


「この4年間のチャレンジというのは自分のキャリアにおいてもいちばん苦しかったです。でもその苦しさや葛藤をしっかりと受け入れることで、見える景色が変わり、より充実させることができたと感じています。だから今後も今とはまた違う形で成長できるように挑戦していきたいですね。自分の中でやりたいことの幅が広くて今『これだ』ということは言えませんが、いろいろなことと戦っていきたいと思っています」



Text: Kai Tokuhara