今月の時計
Piaget
《ピアジェ アルティプラノ アルティメート オートマティック》


Watch

1874年に創業した「ピアジェ」は、美しい時計を作りたいという信念から、薄型ムーブメントの開発を始めた。このモデルは、長年磨き上げてきた薄型技術を進化させ、裏蓋に直接ムーブメントパーツを組み込むことで、ケース全体の厚さを4.3㎜に抑えた。時刻表示をオフセットし、あいたスぺースに歯車などを組み込んでいるため、メカニズムもデザインも個性的なドレスウォッチとなっている。自動巻き。18KPG。ケース径41㎜。¥3,608,000/ピアジェ(ピアジェ コンタクトセンター)


Book

山下 優
(青山ブックセンター本店 店長)

学生時代のアルバイトを経て、青山ブックセンターに入社。2018年から本店の店長を務める。



Drink

成田玄太
(バーテンダー)

人気カフェの店長を経て独立。飲料プロデュース業の傍ら、「Bar werk」のカウンターにも立つ。



Watch

篠田哲生
(時計ライター)

40以上の媒体で時計記事を担当。近著『教養としての腕時計選び』(光文社新書)の台湾版を製作中。


「今こそ、常識を超えていけ」



篠田 今回の時計は薄いんですよ。時計業界では、薄いほど偉いという不文律がある。限られたスペースに機械を組み込むので、設計や製造、組み立てのすべてがハイレベルじゃないと無理ですからね。「ピアジェ」は薄型ウォッチの名門で、1957年に厚さ2ミリという極薄ムーブメントを完成させ、それから一貫して薄型ウォッチばかりを作ってきました。

山下 確かにこの時計は、今まで見てきた中でも群を抜いて薄い。しかも見た目も、かなり変わってますね?

篠田 実は薄型ウォッチは、多くのブランドがチャレンジしている分野。そのためピアジェは、ライバルたちに差をつけるために、ケースの裏蓋に機械を直接組み込む方式を考案したんです。これまでの常識は、薄いムーブメントを薄いケースに収めて薄型ウォッチを作っていた。しかし時計とムーブメントが一体化すれば、さらに薄型化が可能ですから。

成田 そんなやり方があるんですね。

山下 でもピアジェにとっては、それが常識だったと。今回選んだ本は『ハイパーハードボイルドグルメリポート』。テレビ番組で知っているかもしれませんが、ここに描かれているのは極限の世界であり、想像の範囲を超えてしまっている。しかし食事という“普通のこと”を通して語ることで、書かれていることがスッと心にしみてくるんです。ピアジェの場合も、薄型に挑戦することが普通だったから、常識を超えられた。

成田 カクテルにも、そういった常識を超えたレシピがありますよ。「オールドファッションド」は、角砂糖やフルーツをお客さんが崩して味を変えながら楽しむもの。19世紀に発表された当時は、人任せのカクテルという常識外れの斬新さのおかげで賛否両論あったそうですが、2世紀たった今では、人気カクテルとして普通に定着していますから。

篠田 なるほどね。“常識外れ”と“普通”って、実は紙一重な関係なのかも。人間の感性って面白いね。


ニット¥39,600/ラッピンノット(HEMT PR) パンツ¥24,200/ア ボンタージ(ブリックレイヤー) シャツ/スタイリスト私物



Drink

「オールドファッションド」は、氷を入れたグラスにバーボン(45㎖)を注ぎ、アロマティックビターズを数滴。そして角砂糖一つとオレンジ、チェリーを入れる。マドラーで角砂糖やフルーツを崩して、味の変化を楽しみながら飲むカクテルだ。



Book

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』
上出遼平著
朝日新聞出版

テレビ東京のディレクターである上出遼平氏が、自身のドキュメント番組の取材を通して、見たこと、感じたことを書き記した。圧倒的な臨場感と理解を超えた現場でのやりとりの中に、人間の本質である“食べること”の意味が見えてくる。


OTHER SELECTION

ピアジェ
アルティプラノ

厚さ3㎜の新型ムーブメントCal.1205P1を搭載するカレンダーモデル。スペースを上手に確保するために、通常なら3時位置に収まるカレンダー表示を9時位置に移動させている。ケースの厚みは6.36㎜しかない。自動巻き。18KWG。ケース径40㎜。¥3,146,000/ピアジェ(ピアジェ コンタクトセンター)

ピアジェ
アルティプラノ

手巻き式ムーブメントCal.430Pは、なんと2.1㎜という薄さで、ケースの厚みは6㎜。秒針やカレンダーもない端正なドレスウォッチは、シャツの袖にすっと収まってコーディネートの邪魔をしない。手巻き。18KWG。ケース径38㎜。¥2,191,200/ピアジェ(ピアジェ コンタクトセンター)



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※※文中すべて、PG=ピンクゴールド、WG=ホワイトゴールドの略です。

Photos:Yuichi Sugita[POLYVALENT]
Illustration:Crystal
Stylist:Yuta Fukazawa
Composition&Text:Tetsuo Shinoda

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