今月の時計
Breguet
《ブレゲ クラシック5157》


Watch

1775年創業の老舗時計ブランド「ブレゲ」。初代ブレゲが生み出したデザインコードを現在も忠実に守っており、小さなローマ数字インデックスやケースサイドのコインエッジ仕上げがアイコニック。Ⅻの両脇に添えられた隠しサインも魅力的。カレンダーも秒針もない時計は、まさにドレッシーの極みだ。自動巻き。18KRG。ケース径38㎜。¥2,233,000/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)


Book

山下 優
(青山ブックセンター本店 店長)

学生時代のアルバイトを経て、青山ブックセンターに入社。2018年から本店の店長を務める。



Drink

成田玄太
(バーテンダー)

人気カフェの店長を経て独立。飲料プロデュース業の傍ら、「Bar werk」のカウンターにも立つ。



Watch

篠田哲生
(時計ライター)

40を超える媒体で時計記事を担当。『教養としての腕時計選び』(光文社新書)が好評発売中。


「物語を知ることで見え方が変わってくる」



篠田 今回は「ブレゲ」です。創業者のアブラアン・ルイ・ブレゲは、内部の重りを動かして動力用のゼンマイを巻き上げる自動巻き機構や、繊細なパーツを衝撃から守る耐震装置などを開発し、時計技術を大きく進化させた天才時計師。活躍したのはフランス革命期のパリで、あのマリー・アントワネットも顧客でした。

成田 すごくキレイですし、なんだか品格がありますね。

篠田 ブレゲは、メカニズムだけでなく、デザインや仕上げでも革命的なアイデアを実践した人でもありました。ダイヤルの反射を抑えるギヨシェ彫りや美しいブレゲ針は、現在でも時計の定番デザインとなっています。また、贋作に悩んだ彼は、肉眼では見にくいほど小さな「隠しサイン」を入れて偽造を防いだそうです。

山下 そのままなら「キレイだな」で終わってしまうけど、そこに込められたメッセージを理解すると、より時計のすごさがわかりますね。僕が選んだ『ビジュアルデザイン論』は、ロゴマークや書体グラフィックなど視覚に訴えかけるデザインの裏にある、さまざまな伏線や戦略などを論じた一冊。キレイやカッコイイの裏には、必ず理由があるんですよね。

篠田 カクテルの名前も同じかな? この企画を通してたくさんのカクテルを教えてもらいましたが、どれもネーミングが意味深ですし、物語が知りたくなる。

成田 でしょ。そこも面白いところなんです。今回はブレゲの顧客だった「マリー・アントワネット」を直球で選んでみました。といっても彼女自身が愛飲していたわけではなく、彼女が7歳のときに、まだ6歳だったのちの大音楽家モーツァルトに求愛されたという逸話をもとにして作られたもので、「モーツァルト」という名のチョコレートリキュールをベースにしています。

山下 なるほどね。話としても面白いし、興味が湧いてくる。

篠田 知識を得ることで、見えなかったものが見えてくる。世の中って楽しいね。


ジャケット¥33,000/スケアー(アンシングス)



Drink

チョコレートリキュール「モーツァルト」(45㎖)、メイプルシロップ(15㎖)、ミルクか生クリーム(30㎖)、コアントロー(5㎖)をシェイクして作る「マリー・アントワネット」。かなり甘めなので、デザートカクテルとして楽しみたい。



Book

『ビジュアルデザイン論』
リッカルド・ファルチネッリ著 清水玲奈訳 
クロスメディア・パブリッシング

著者はロンドンとローマで学んだグラフィックデザイナー兼デザイン評論家。世の中にあふれているさまざまなビジュアルデザインを読み解き、その背景にある人間の心理や行動にまで言及する。日常生活における視野を広げてくれるデザイン本だ。


OTHER SELECTION

クラシック 7137

1787年に初代ブレゲが製作した懐中時計「ペルペチュエルNo.5」のデザインや機構を、腕時計化したもの。場所ごとに異なる3種類のギヨシェ彫りを施すなど、ブレゲらしい芸術的技巧に凝ったドレスウォッチ。自動巻き。18KWG。ケース径39㎜。¥4,763,000/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)

クラシック 7147

ブルーのブレゲ針が映える美しいホワイトダイヤルは、職人が丁寧に焼き上げたグラン・フー エナメル製。これも初代ブレゲが好んだ仕様だ。優美なデザインのインデックスは、ブレゲ数字と呼ばれている。自動巻き。18KWG。ケース径40㎜。¥2,563,000/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)



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※※文中すべて、RG=ローズゴールド、WG=ホワイトゴールドの略です。

Photos:Yuichi Sugita[POLYVALENT]
Illustration:Crystal
Stylist:Yuta Fukazawa
Composition&Text:Tetsuo Shinoda