今月の時計
SEIKO
《プロスペックス SBEX011》


Watch

国産ダイバーズ誕生55周年を記念し、代表モデル3つを復刻。こちらは1968年製モデルがベースで、ロープなどが絡まりにくく、また手首への干渉も軽減させるためにリューズが4時位置にある。復刻モデルは深海を思わせる深いブルーグレーを採用し、防水性能も300mに。いつまでも輝きを保つ新しい合金をケース素材に使用。世界限定1100本。自動巻き。エバーブリリアントスチール。ケース径44.8㎜。¥700,000/セイコー プロスペックス(セイコーウオッチ お客様相談室)


Book

山下 優
(青山ブックセンター本店 店長)

学生時代のアルバイトを経て、青山ブックセンターに入社。2018年から本店の店長を務める。



Drink

成田玄太
(バーテンダー)

人気カフェの店長を経て独立。飲料プロデュース業の傍ら、「Bar werk」のカウンターにも立つ。



Watch

篠田哲生
(時計ライター)

40を超える媒体で時計記事を担当。12月に『30過ぎたら男の時計選びは教養だ(仮題)』を上梓予定。


「時計が“静寂”を連れてくる」



篠田 今回は日本の時計。「セイコー」は世界的にも有名ですが、特に評判がいいのがダイバーズウォッチ。そもそも潜水計器として生まれたので、故障は絶対許されない。つまり、信頼できる計器としてセイコーは選ばれたんです。この時計は、1968年モデルの復刻版。通常はケースの裏側からムーブメントを入れますが、これは裏蓋がないワンピース構造で防水性を高めている。そのタフさが評価され、植村直己さんがエベレストに登頂した際の装備でもあったそうです。

山下 海だけじゃなくて、山も制した冒険ウォッチなんですね。しかしどうして人は、誰もいないところに行きたがるんでしょう? この『静寂とは』という本はノルウェー出身の極地冒険家が書いた随筆で、人は静寂を心が求めているのだと説いています。

篠田 静寂か。確かにこういった本気の冒険ウォッチが必要な深海や高所は、人がいなくて静かでしょうね。そういう場所って、現代人には大切なのかも。

成田 とはいえ、僕が富士山に登ったときは、大混雑で静寂のかけらもなかったけど(笑)。でも“冒険”というキーワードは、カクテルでも有効ですよ。今回は「モヒート」。夏のイメージがありますが、クラッシュアイスをこんもりとさせるのが正式なスタイルで、これがまるで雪山のように見えるんです。それこそ冒険から戻ってきたときに飲むお酒として、最適じゃないでしょうか。

篠田 そういえば冒険を愛した作家ヘミングウェイも愛飲してましたよね。冒険の後の冷たいモヒートっていいですね。

山下 それに現代ならスマホから離れるだけでも、しばしの静寂は味わえる。時間を知りたければ、こういう冒険ウォッチが、静かに時を告げてくれますしね。

篠田 セイコーのダイバーズウォッチは、静寂を求める人のためのもの。海や山に行かなくても、お酒を片手にゆっくり動く針を見つめながら静寂を感じる…。なんだか哲学的だね。



ジャケット¥39,000/スタジオ ニコルソン(キーロ) シャツ¥28,000/ドレス(にしのや)



Drink

夏っぽいカクテルの代表格「モヒート」は、冬に飲んでもおいしいお酒。ホワイトラム(45㎖)に、ライム果汁(15㎖)とシュガーシロップ(5㎖)を加えてステア。ソーダとイエルバブエナ(またはミント)を加え、クラッシュアイスを山盛りに。



Book

『静寂とは』
アーリング・カッゲ著
田村義進訳 辰巳出版

世界で初めて、南極点、北極点、エベレスト山頂という三極点に立ったノルウェー出身の世界的冒険家アーリング・カッゲが、自分の冒険の経験や、音楽、アートなどのカルチャーから、“静寂”について考える。静かな夜に読みたい本だ。


OTHER SELECTION

プロスペックス
SBDX035

1975年製ダイバーズウォッチを復刻。時計を取り囲む外胴プロテクターの姿から、“ツナ缶”という愛称で海外でも人気に。防水性能は1000mで、耐磁性能にも優れる。世界限定1100本。自動巻き。Ti×セラミック。ケース径52.4㎜。¥450,000/セイコー プロスペックス(セイコーウオッチ お客様相談室)

プロスペックス
SBEX009

1965年に登場した、セイコー初であり国産初でもあるダイバーズウォッチを復刻。防水性能は200m。ダイバーズ用の高精度ムーブメントを搭載。世界限定1100本。自動巻き。エバーブリリアントスチール。ケース径39.9㎜。¥650,000/セイコー プロスペックス(セイコーウオッチ お客様相談室)


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※文中すべて、SS=ステンレススチールの略です。

Photos:Yuichi Sugita[POLYVALENT]
Illustration:Crystal
Stylist:Yuta Fukazawa
Composition&Text:Tetsuo Shinoda