自分のペースでゆっくりやるという意味でも、福岡はちょうどいい。

大濠公園を間近に望む開放的なリビング。室内にはヴィンテージの名作家具が並び、壁には福岡を拠点に活動するアーティストの作品が飾られている。まるでサロンのような佇まいのこの部屋こそ清永さんが現在、月の3分の1ほどのペースで暮らす福岡の家である。
「地元が大分県ということもあって、もともと九州との縁は深いんですけど、特にここ数年は行き来する機会が増えていました。そうした状況が続くうちになんとなく福岡がいいなと思うようになって、1年ぐらい前から家を借りて、本格的に東京との2拠点生活を始めることにしたんです。いくつか見た中でこの部屋にしたのは、抜けのある景色と空気感が気に入ったから」

夕暮れ時、ソファに寝そべってのんびり景色を眺めるのがここでのいちばん好きな過ごし方だという。
「福岡に来ることが切り替えになっているというか、自分の中でオンとオフのバランスがうまくとれるようになりました。東京はいま飽和状態だと思うんですよね。情報量が多いし流れも速いから、すべて埋もれていってしまっている気がします。そのスピードにのみ込まれず自分のペースでゆっくりやるという意味でも、福岡はちょうどいいんですよ。東京だと1.5倍速で動かないといけないのが、こっちだと1.0倍速でやれる。程よく都会で程よく田舎で、でも感度のいい人たちが集まっていて、それぞれがつながって面白い活動をしている。彼らと話をしているとワクワクするし、この感じが今の僕にちょうどいいんですよね」

アルネ・ヤコブセンのエッグチェア、シャルロット・ペリアンのスツール、柳宗理のエレファントスツール、ジャン・プルーヴェとペリアンが共同設計したアントニーベッド、フィリップ・スタルクのガンランプなど、マスターピースがずらり。

明るく開放的なリビング。ソファはアルフレックス、ローテーブルはペリアン、ライティングチェアはピエール・ジャンヌレのもの。
(UOMO9月号掲載)


清永浩文 HIROFUMI KIYONAGA

50歳・SOPH.代表
1967年大分県生まれ。’98年にSOPH.をスタート。2017年4月、自身の趣味や好きなものを反映させた実験的なプライベートショップ「KIYONAGA&CO.」を福岡市にオープン。
http://www.kiyonagaandco.com


Photos:Go Tanabe
Text:Masayuki Sawada

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