名物バーマンの生き方が示す
魅力的な男になるためのヒント

「バーこそ私のひと時」と語るシューマンは、ドイツ・ミュンヘンに名店「シューマンズ」を構える伝説のバーマン(バーテンダー)であり、500種類以上のレシピとともに世界のバーシーンにバイブルとして影響を与えた『シューマンズ バー ブック』の著者だ。そして、思索する旅人であり、モデルでもある。今作では、そんな彼が好奇心にかられ、ニューヨーク、ハバナ、ウィーン、東京と地球半周の旅に出、カクテルの魅力、お酒やバー文化をめぐる歴史、バーマンのあり方を紐解いていく。

物語の中でカクテルは「色彩豊かな神秘」と表される。多種多様なお酒とその組み合わせで新たな味と香りを生み出すさまは、手先から放たれる魔法のようだ。シューマンは世界のトップバーのランキングに入るバーから、格式高いホテルのバーまで気兼ねなく立ち寄る。名物バーテンダーの技を見つめ、一杯へのこだわりに耳を傾け、味覚だけではなく空間としてバーを吟味している。そこには、バーマンという職人の創造性と客として感じる日常的な喜びが映し出されている。

彼は齢76を超えてもなお、自店のカウンターに立つ現役だ。長年培われた一流を見極める才能はもちろん、バーガンディ、ネイビー、ライトグレーといった味のあるスーツをラフに着こなし旅する姿は、我々が憧れる男性そのものだ。観客はシューマンと一緒に旅をしながら、カクテルの奥深さやバーの心地よさに酔いしれる。98分の本編を見終わる頃にはすっかり喉が乾いているだろう。映画を見た後、友人と、彼女と、奥さんと、カウンターに腰掛けてグラスを傾ける。最高の休日じゃないか。


『シューマンズ バー ブック』

監督:マリーケ・シュレーダー
出演:チャールズ・シューマン、シュテファン・ウェーバー、デイル・デグロフ、ジュリー・ライナー、コリン・フィールド、岸久、上野秀嗣
2018年4月21日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
© 2017 Thali Media

映画『シューマンズ バー ブック』公式サイト

Text:Hisamoto Chikaraishi

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