F.A.Tのネイビーコート | 祐真朋樹の密かな買い物 | Archive | UOMO | WEBUOMO

祐真朋樹の密かな買い物

Vol.3

F.A.Tのネイビーコート

今回は靴以外は紺一色。でも、アイテムごとに微妙にトーンを変えているのがポイントです。イチ押しはF.A.Tのコート。袖と肩の素材と色がちょっと違う。光沢のあるパンツを合わせました。

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おそらく3年ほど前のことだったと思うのだが、F.A.Tという店が僕の事務所の近くにオープンした。色鮮やかなアイテムが並ぶメンズショップだな、と気になってはいたのだが、営業時間の短さもあり、なかなか足を踏み入れる機会がなかった。

そんなある日、紺一色の服がコーナーを占めているのが目に留まり、その服見たさに営業時間をしっかり確認。満を持して店を訪ねた。ネイビーだけあって「NVY」というラインがあるもよう。ふ~ん、なるほどね、と興味は湧いたが、そのときは何も買わずに退散。

で、昨年の暮れ、このコートを買った。実はその数日前からウィンドウ越しにフィッシングベストを眺めて、ずっと気になっていたのだ。店内に入ると、まずはフィッシングベストを試着。そしてその隣に掛けられていたこのコートに手が伸びた。

コートをつかんだその瞬間、柔らかいのにゴワっとする不思議な感触に驚いた。しかも立体的な張りがある。いかにもコート然とした美しいシルエットを出せ、しかも襟元や袖口などのディテールにニュアンスが出せる素材…。「これはヤバイ!」。袖を通した瞬間に購入決定であった。

もともと興味があったフィッシングベストも買ったのだが、今のところ、着ているのはコートのみ。店のスタッフに「リバーシブルですよ」と言われたが、ワンパターンでしか着ていない。考えてみれば、2WAYや3WAYの服や小物を使いこなせた試しがない。元来不精で不器用なので、決まった使い方しかできないのだ。よく言えば一途??

そんな感動的な衝動買いをしたばかりなのに、3月上旬に店がクローズとは残念至極。全然聞いてなかったので驚いた。閉められたショップのウィンドウに貼られたレターには「移転します」と書いてあったが、新しい場所がどこかはまだ決まっていない様子。表参道付近でドメスティックのオンリーショップは少なく、しかも新しくて若いブランドとなると稀有もいいところだったので、本当に残念に思っている。こんなことなら、もっと足しげく通っておくべきであった。

パンツは6年ほど昔に買ったPRADAのもの。マイ・クロゼットの奥にひっそりと掛かっていた。2月の雪の降る寒い朝、ロケに行くので暖かいパンツはないかと探していたら発見。存在自体を忘れていたが、家を出てしばらくしたら、映画『ゼラチンシルバーLOVE』の収録のときにはいていたことを思い出した。

監督の操上和美さんに「祐真さん、そのパンツいいね。どこの?」と聞かれたっけ。操上さんのような、おしゃれで格好いい大人に褒められてうれしかった記憶が甦った。僕の場合、着ている服を褒められた記憶は、しっかり脳内データベースに保存される。…思い出すのに時間がかかったりするけど。

さて、しばらくぶりのこのパンツは、料理の流行的に言えば「熟成パンツ」。最近は、今や幻となったショップ、F.A.Tのコートと合わせて頻繁に登場させている。ブーツは1月にパリのANATOMICAで購入したAlden別注。着脱が面倒だが、ラストがたまらなく好き。インナーに着ているタートルニットもANATOMICA。東日本橋店で購入したものだが、こちらも渋くて泣ける店である。

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    F.A.Tのコート。最初から、まるで着込んだような質感にまずうなる。それと「紺」まではいかない深い青が好き。

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    ANATOMICAのタートルネックセーター。深い紺色に惹かれた。粗めに編まれているのもクリスピーでいい感じ。

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    VALENTINOのビーサン。鼻緒はクロコダイル。サマースーツに合わせる予定です。

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(2014年UOMO6月号掲載)

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